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衣料品を長命化する修理施設開発によるブランド構築

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JNEWS会員配信日 2023/12/21

 衣服のライフサイクルを長命化するには、「修理をして長く着られる」サービス体系を作ることも、アパレルブランドにとっての使命になる。アウトドアブランドの「パタゴニア(Patagonia)」では、外部の修理業者と提携する形で、自社製品の修理サービスを欧州と米国で開始している。

修理サービスの工程としては、最初にユーザー自身よるDIY修理を推奨しており、製品別に痛みやすい部分のリペアの方法を解説した動画を公式サイト上で公開して、リペアに必要な交換パーツの提供も行っている。たとえば、ジッパーの故障、穴の空いたニット服、ダウンジャケットのステッチのほつれ等は、DIYリペアによって再生できるとしている。

さらに、DIYでの作業が難しい場合は、宅配便発送による修理サービスも実施している。修理を希望するユーザーは、ウェアをクリーニングして梱包した後、最寄りの郵便局から発送すると、4~6週間で修理がされて返送される。この修理サービスは、今のところ無料で実施されており、新品・中古の購入ルートも問われない。

Patagonia DIY Repair Guides

また、登山用アパレルブランドの「Finisterre(フィニステーレ)」でも修理サービスを充実させている。こちらは、服の破損部分に応じた修理料金を明瞭に表示しているのが特徴で、ジッパー交換が75ユーロ、裾の補修が44ユーロ、デニムの穴補修が34ユーロ、 アウトドアジャケットを新品同様にする修理フルサービスが180ユーロというように、お金をかけてメンテナンスをすれば、愛着のある用品を長期で使えるようにしている。これらの修理は公式ECサイトからオーダーする方式で、複数の依頼をすれば、修理代金が割引になる特典もある。

Finisterre Repairs

これらの背景には、欧州の法律でも、アパレルメーカーが販売する服に対して、修理を義務化する動きが加速していることがある。また、サステイナブルエコノミーにおけるアパレル用品の価値は、古着として二次流通する再販相場と連動するため、公式の修理サービス部門を持ち、製品寿命を延ばすことがアパレルブランドとしての価値を高めることになる。

 アパレルブランドの修理作業は、外部に委託されるケースが多いため、修理業者や職人の育成ニーズも高まっており、この分野は新たな社会事業としても注目されている。

英国で稼働している修理施設は、東欧からの難民や就職困難な人達を採用してリペア職人に育成しながら服の修理を行う施設で、先に紹介したパタゴニアの他に、「DECATHLON(デカトロン)」や「lululemon(ルルモン)などのスポーツウェアブランドとの契約により、年間3万件以上の修理業務を受託している。

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・修理対応によるブランド再構築の方向性
・衣料品を長寿命化させる英国の修理施設
・公的支援によるリペア職人の育成モデル
・オンデマンド靴修理サービスの成長市場
・古着価値を再生するアップサイクル起業
・アップサイクルブランドのビジネスモデル
・アップサイクル生地の卸売ビジネス
・売らずに資源を循環させるサーキュラービジネス

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JNEWS LETTER 2023.12.21
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