フードデリバリーから無人店舗への転換トレンド
韓国は、世界で最もフードデリバリーの普及率が高い国だが、これは日本と比べても国土が4分の1しかなく、その中に5100万人の人口が密集しているため、古くから出前の文化が定着していることが関係している。しかし、その韓国でも配達コスト(人件費)の高騰により、経営者や投資家の関心はフードデリバリー市場から離れてきている。
一方で、韓国の個人投資家から注目されている飲食業の新形態として、無人フェがある。その仕組みは、全自動で高品質なコーヒーを淹れられるマシン(ロボットバリスタ)を設置した店内で、自由に過ごせるようにしたものだ。ロボットバリスタには、低価格から高価格なものまであるが、性能の進化も早いため、店舗オーナーはフランチャイズに加盟して、機材を導入するのが主流である。
「Now coffee」は韓国内で600店舗以上を展開している、無人カフェのフランチャイズチェーンで、店舗を借りる保証金、ロボットバリスタの機材、内装費、看板代などを含めて5000~6000万ウォン(約550~660万円)で開業することができる。
コーヒーの単価は1900~2300ウォン(約210~250円)に設定して、1日に80~100杯のコーヒーを売ることを標準的な経営モデルとしている。すると、月間の平均売上は約250万ウォン(約27.5万円)となる。そこから諸々の経費を差し引くと、加盟オーナーの実収入は月額10万円に届くか、届かないかというところ。
通常のカフェよりも低い売上水準だが、接客の人件費がかからないため、加盟オーナーは投資額に対して平均で6.9%の年間利回りが期待できるとしている。
個人投資家であるオーナーは、2~3店舗を同時に無人経営することにより実収入を増やしていくことが推奨されている。
無人カフェの利用客は、コンビニや屋外自販機の立ち飲みではなく、セルフサービスでも落ち着いたスペースでコーヒー休憩をしたいというニーズが多い。しかし、コーヒー1杯で何時間もテーブルを占有する顧客も居るため、回転率が低いことが課題になっている。そこで、時間単位の課金ができる「スタディカフェ」の形態も、韓国では2018年頃から増えている。
スタディカフェは、読書や勉強を目的とした座席ブースを提供するレンタルスペースと無人カフェの複合業態で、内装は落ち着いたインテリアにコーディネートされて、大声で会話をすることは禁止されている。レンタルオフィスのように長期の利用契約は不要で、1時間券、2時間券、半日券、1日券、深夜券などのチケットを購入して入場できるため、受験勉強に集中したい学生や、資格試験を目指すサラリーマンから利用されている。
韓国内には70以上のスタディカフェブランドが存在しており、フランチャイズ方式で加盟店舗を増やしている。店舗の開業資金は、コーヒーを提供するだけの無人カフェよりも高いが、時間単位の課金で顧客の滞在時間が長いため、安定収益が込めるのが特徴である。
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