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中国人投資家が日本を狙うアウトバウンド不動産投資

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JNEWS会員配信日 2022/10/17

 中国の人民元と日本円の関係でも円安は進行しており、2020年5月に1元=15.1円だったレートが、2023年には1元=20円前後で推移している。つまり、中国からみた日本円の価値は25%下がっていることになり、中国人富裕層にとっては爆買いのチャンスが訪れている。といっても、今回は日本旅行をして買い物をするインバウンド消費ではなく、日本の資産を取得するインバウンド投資が注目されている。

神居秒算(しんきょびょうさん)」は、日本国内の賃貸アパートや中古住宅などの投資物件を、中華圏(中国、香港、台湾)の投資家向けに中国語で紹介する不動産情報サイトで、国内の不動産業者から登録された1万2千件以上の物件が掲載されており、購入に関する月間の問い合わせ数も1000件を超している。

このサービスは、京都大学で情報学博士号を取得後、楽天でチーフサイエンティストを務めた何書勉(ほう しゅうめん)氏が、上海と日本を拠点に創業したNeoXグループが、2017年5月に立ち上げたものだが、2020年6月には東証マザーズ上場のGAテクノロジーズ(3491)が約12億円で事業買収して、子会社として運営されている。GAテクノロジーズは、不動産オンライン取引アプリの開発を主力としているため、神居秒算事業との相乗効果が高い。

神居秒算には、日本国内にある新築・中古の賃貸アパート、分譲マンション、戸建住宅、店舗物件などが、販売価格の他に、家賃設定の目安、維持費などの投資分析を加えて掲載されており、中国投資家が希望の物件を見つければ、ARアプリによってバーチャル内覧をすることができる。

物件に対する問い合わせや商談は、物件登録をした不動産仲介会社の担当者が自動翻訳機能付きのチャットで対応して、正確なコミュニケーションが求められる契約業務については、事務手続きの代行会社を利用することもできる。

そのため、中華圏の投資家は、日本の不動産物件をオンラインのみで、購入、契約、決済まで完結させることも可能になっている。こうした投資ができるようになった背景には、日本政府のデジタル改革により、不動産取引における押印の廃止、書面の電子化、オンラインによる重要事項説明などが認められるようになったことが関係している。

神居秒算のビジネスモデルは、不動産業者からの物件掲載料と、売買契約が成立した際の一定割合をコンサルフィーとして徴収することを収益源にしている。不動産業者が中国投資家との交渉を成立させるには、社内に中国語の対応ができる担当者を置くことが望ましいが、自動翻訳機能や手続き代行サービスが充実することで、インバウンド不動産投資のハードルは低くなっている。

《インバウンド不動産投資の仕組み》

 神居秒算サイトから物件購入をする中華圏顧客の59%は、5000万円以上の資産を保有する「30~40代のやや裕福な層」であり、プロの投資家というわけではない。以前から日本の不動産に興味を持っており、初めての物件購入にチャレンジする層が多い。購入希望の物件も数千万円で買える中古アパートが人気で、オンラインのみの購入スタイルに拘るのではなく、日本への渡航が可能になれば物件を見に行きたいと考えている。

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