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食品賞味期限と連動したスーパーの変動価格システム

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JNEWS会員配信日 2020/9/2

 スーパーなど小売店舗のフードロス対策としては、食品の賞味期限が経過するまでに段階的な値下げをして、在庫を売り切ってしまうことが望ましい。それを自動化できるシステムを開発することも、フードテック企業の着眼テーマになっている。

イスラエルで2016年に創業した「Wasteless」は、スーパーマーケット向けの動的価格システムを開発している。店内の在庫商品と賞味期限をAIに学習させると、アルゴリズムが商品ブランドの人気度、季節・天候による売上変動も考慮した上で、最適な変動価格を陳列棚の電子プライスタグに自動表示させることができる。

従来の食品価格は、同じ商品であれば、賞味期限に関係なく同じ価格が設定されいる。しかし、Wastelessのシステムは、賞味期限の残存期間別に1日2回の頻度で価格を変動させることで、売れ残り在庫が解消されるように工夫されている。

たとえば、同じ食品でもプライスタグには「賞味期限が3日以内は1.7ドル」「賞味期限が1週間以内は2.8ドル」「賞味期限が2~3週間は3.4ドル」というように複数の価格が表示されている。消費者は陳列棚から希望の賞味期限に該当する商品を選んでレジで決済する方式だ。今夜の夕食に使う食材であれば、賞味期限が短くても安い商品を買うのが賢いし、まとめ買いをする場合には、通常価格でも長期保存ができる商品のほうが良いという選択を、消費者自身が決められる。

この仕組みは、商品1個毎に1つのIDを割り当てたRFIDタグと、Wi-Fi対応の電子プライスタグによって実現させている。価格変動のアルゴリズムには43種類もの条件項目が使われており、小売店が常に最適な利益を確保できる価格設定が行われている。

スーパーマーケットの平均営業利益は1.5~2.5%に過ぎないが、一方で、売れ残り在庫の処分(廃棄)には、人件費も含めると売上高に対して1%程度のコストがかかっている。Wasteless社は、この廃棄問題を解決すると同時に、スーパー店舗の利益率を向上させられる、変動価格システムの普及を目指している。

主なターゲットとしているのは、米国と欧州の市場で、特に欧州では、食品業者向けにフードロス対策の規制が強化されており、欧州全域にある10万店舗あるスーパーチェーンで、売れ残り在庫の解消を目的とした変動価格システム導入のニーズが高まっている。

Wasteless
■変動プライスタグの紹介映像

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