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数十万人が学習する
オープン教育サイトの実力と収益モデル
written in 2012/11/27
事例:edX

 「オープンエデュケーション」という言葉が聞かれるようになったのは、2001年頃からで、マサチューセッツ工科大(MIT)が、YouTubeなどに講義を無料で公開しはじめたことが発端になっている。

現在のMITでは「edX」というオンライン学習のプラットフォームが構築されて、化学、電子工学、コンピュータサイエンスなどの入門的なカリキュラムが無料で履修できるようになっている。講義はネットでビデオを視聴した後に、練習問題に取り組んだり、宿題レポートを提出するスタイルになっている。フリーとはいえ、各カリキュラムは3ヶ月単位で、1週間に10〜12時間の学習時間が必要なことから、かなり本格的である。

これらの講義を受けるのに、入学試験などは無く、ネットが繋がる環境からであれば、住んでいる国や年齢も関係無く、誰でも受講することが可能。実際にどれ程の受講者がいるのかというと、「Circuits and Electronics」という電子回路のコースには、160ヶ国から16万人もの申込みがあった。受講者の年齢も、14才から74才までと幅広い。

■マサチューセッツ工科大(MIT)の無料オンラインコース(edX)
  https://www.edx.org/university_profile/MITx



これらのコースを修了したからといって、通常の大学生と同じ学位が取得できるわけではないが、オンラインコースの修了証明書が発行される。MITでは、この修了証明書を有料で発行することを計画しており、それを大学の新たな収益源にすることを模索している様子。

MITへ正規の学生として入学すれば、授業料と施設費などを含めて年間で 43,000ドル(約350万円)もの費用がかかる。しかし、そのお金を払えなくても学びたい人は、世界に数十万人の規模でいるため、彼らにも MITのカリキュラムを学べる機会を無料で与えて、ゴールに到達した者に、証明書を有料発行する仕組みであれば、学習の途中で挫折した人が学費を無駄にすることはないし、修了者の金銭的な負担も少なくて済む。

ただし、オープンエデュケーションで使われるカリキュラムは、正規の学生が納める学費に支えられて公開できるものであり、大学全体がオープン(無料)化するということではない。無料コースの内容は、正規の学生が学ぶ授業の一部であり、そこで取得できる修了証明書も、通常の学位より格下の位置付けになる。

それでも、難関大学のオンラインコースを修了したことは、リクルート先の会社などに自分の実力を証明することに役立つため、オープンエデュケーションにより、新たな“学歴制度”が生まれることになるかもしれない。

《オープンエデュケーションの仕組み》

 

およそ10年前に、MITが授業を無料公開して以降、カーネギーメロン大学やライス大学など、他の名門大学でもオープンエデュケーションを追従する形になり、日本でも、東京大学が一部の講義を無料で公開している。しかし、当初はオープンエデュケーションを実施する大学側のメリットが曖昧で、修了証明書を有料発行するようなモデルが考案されたのは、つい最近のことである。

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この記事の核となる項目
 ●無料公開される名門大学の授業と、その目的
 ●オープンエデュケーションを支えるプラットフォーム事業
 ●MOOCで変わる高度教育の手法と方向性
 ●MOOCプロバイダーが模索するビジネスモデルと収益構造
 ●オープンエデュケーションの問題と影響
 ●フリー教材を活用した新たな学習スタイル
 ●学習専用電子書籍リーダー開発への商機
 ●米国ホームスクーラーにみる英才教育の始め方と情報収集力
 ●大学進学の資金を稼ぐためのスモールビジネスと起業支援策
 ●名門大学を目指す米国家庭の資金調達法と逆留学による裏技


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JNEWS LETTER 2012.11.27
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