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  書籍の電子化が向かうと ころは、一つのデータベースに集約させることに狙いがある。ネットから検索できる対象はWebサイトが主体だが、コンテンツの質では書籍の内容には遠く及ばない。そのため、書籍の電子化→データベース化という流れはネット業界にとって悲願といえるものだ。
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ポータルサイトが次の市場として狙う
「電子図書館」のコンセプト
written in 2005/10/24
事例:Google Book Search

 書店が一冊の本を売って得られる粗利益は20%前後という水準。その中から店舗にかかる経費を差し引いて残る営業利益率は1〜3%にしかならない。一方、オンライン書店では店舗の負担はないものの、商品梱包と物流にかかるコストによって、こちらもリアル書店と同程度の利益率になってしまう。いずれの業態にも共通しているのは、膨大なアイテム数におよぶ書籍を扱う物理的な負担によって、かなりの利益率がそぎ落とされてしまっている点だ。しかも店頭に並ぶ本の中で約4割が売れずに返本されているという実態は、出版業界にとって悩みの種になっている。

「本」の存在が将来的に無くならないとしても、現在の流通システムや収益構造に依存しているままでは出版業界の未来は明るくない。これからは紙とデジタルの融合によって“書籍”の新たな収益モデルを構築することが鍵となるが、その具体的な動きとして、出版業界では電子書籍の普及を独自路線で目指している一方で、ネット業界からは出版業界に対して、既存の書籍を電子化するための許諾を求める要望が高まっている。いずれにしても今後は「電子書籍」が新たな有望商材として注目されることは間違いない。この流れは、iPodの大ヒットによって市場の構図がCD販売からオンライン配信へと急速に移行した音楽業界の経緯と似ている。

2004年度の電子書籍市場は約45億円に達しているが、これは2兆円以上あると言われる書籍市場の数パーセントに過ぎない。紙書籍の発想でいけば、手にとってパラパラとページをめくることのできない電子書籍は使い勝手の悪いものだが、「調べたい情報を素早く検索する」という用途に対しては、紙とは比べものにならないほど便利なのが電子書籍の特徴。同じ本の内容でも、紙とデジタルとでは用途を分けることにより、二重の売り方ができることに着眼すると、国内の映画業界が収益の道を映画館上映とDVD販売の二本立てにすることで息を吹き返したのと同様の展開が出版業界にも期待できる。
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この記事の核となる項目
 ●電子化からデータベースへ向かう出版書籍業界
 ●電子書籍のポータルサイトとなる電子図書館の仕組み
 ●学術研究分野での導入が進む電子図書館の動き
 ●総合化よりも専門化が肝となる電子図書館サービス
 ●電子図書館の収益構造について
 ●リアル図書館から電子図書館へと代替わりする動き
 ●大口ライセンス販売を狙う電子ジャーナル発行の波
 ●優良コンテンツに対する版権管理の仕組みと版権エージェント
 ●ダウンロード型電子書籍販売の問題点と急所となる収益の構造
 ●厳冬の時代を迎える出版業界の構造(業界を変革する新たな挑戦)


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