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有能タレントとして長期契約されるフリーランスの変化

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JNEWS会員配信日 2023/3/10

 リモートで多様な働き方ができるようになると、有能な人材ほど勤務先に縛られることを嫌うようになる。そこで、社員とフリーランスの中間的な立場としてプロジェクト単位で専門性の高い人材を採用するのが、オープンタレント制の仕組みである。

世界的な会計事務所のDeloitte(デロイト・トウシュ・トーマツ)は、150ヶ国以上で40万人の従業員を雇用しているが、新たな人材採用の枠組みとして「デロイトオープンタレントコミュニティ」を10年程前から構築している。

このコミュニティでは、フルタイムの雇用には関心が無いが、会計・人事・事業コンサルティング・システム開発などの専門領域で活躍したい人材を、プロジェクト単位の契約制で採用している。コミュニティ内には、世界各国にあるデロイトグループ会社が募集する求人案件が集約されており、希望の職種に応募すると、該当プロジェクトチームのリーダーとオンライン面接して採用されると、リモートで勤務する流れとなる。

デロイトの仕事に関わるスタイルは、既にフリーランスとして起業しており、複数クライアントの仕事と並行して参加するケースや、1年間のみプロジェクトに参加するケース、定年退職後のセカンドキャリアとして参加するケースなど、多様な働き方の中からチームメンバーが選出されている。報酬は、該当職種のフリーランス相場に準じて決められているが、プロジェクトの内容によっては数年にわたる長期契約になるため、他のギグワークと比べると収入は安定しやすい。
ただし、正式な社員ではないため、有給休暇を含めた福利厚生は受けられない。

Deloitte open tarent

デロイトがオープンタレント人材の採用を強化している理由として、医師や大学教員など専門性の高い職種ほど、非常勤人材の割合が高くなっていることが挙げられている。米国大学で採用される教員人材の中では、非常勤教員が常勤教員の割合を上回っており、知識労働者の働き方は、着実に独立系へと移行している。
そのため、これからの企業が活用すべき人材としては、業務の性質に応じて、以下5種類のタレント層から、柔軟なポートフォリオを組む必要があると解説している。

《これからの人材タレントタイプ》

  • バランスシート人材
    会社が法定正社員として採用する伝統的な従業員。人材を維持するための固定費や教育費は、すべて会社が負担しているが、有能人材の離職率は高まってきている。
  • パートナーシップ人材
    グループ会社や資本提携しているパートナー企業で働く人材の経験、スキル、知識を効果的に活用する。近年では、有能人材の獲得を目的とした企業買収も増えている。
  • 借用人材
    製造業の工場で働く派遣人材や、コールセンターの外部委託スタッフなど、外部の企業が雇用している人材を借用して業務を行う。
  • フリーランス人材
    特定プロジェクトのために採用される独立系の人材。契約によって働く期間は決められて、報酬は時間単位、日数単位、プロジェクト単位で支払われる。これからは、バランスシート人材とフリーランス人材が統合されて、同じ職場で働くようになる。
  • オープンソース人材
    無償で労力を提供する人材で、社会的に意義のあるプロジェクトに集まる傾向が強い。フリーソフトウェアの開発はオープンソース人材を中心に行われている他、暗号通貨の開発プロジェクトでは、オープンソース人材に有償のインセンティブを付与することで、仕事に取り組むモチベーションを高めている。

 デロイトでも、以前は各国の支社がフリーランス人材の採用をバラバラに行っていたが、その窓口を全社で集約して、採用プロセスの効率化と応募人材の共有をすることが、デロイト・オープンタレントコミュニティの役割になっている。

1人の正社員を採用するには約50日の期間が必要だが、オープンタレントコミュニティでは、最短で24時間以内に同じスキルを持つフリーランス人材を採用することができる。リモートワークでは、勤務地の制約が無くなるため、英国支社のチームに参加していた人材が、次のプロジェクトでは、オーストラリア支社のチーム参加することも可能だ。人事評価の面でも、全社で情報を共有すれば、過去の実績に応じた報酬アップもしやすく、短期のギグワークではなく、長期的な契約を継続させやすくなる。

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JNEWS会員レポートの主な項目
・勤務医に広がるハイブリッドな働き方
・オープンタレント人材の特徴と採用方法
・ギグワーカーからオープンタレントへの移行
・オープンタレント採用プラットフォームの開発
・フリーランス向け健康保険の開発と問題点
・国際フリーランスの年金問題と解決策について
・リモートリタイアメントの潜在市場
・米国で「静かな退職者」が急増する労働市場の異変
・最低時給引き上げの裏側で過熱する米国の起業トレンド
・低賃金サービス業から「消えた労働者」の行方と価値観
・ハイブリッドワーカーが変える賃金体系と実質年収の価値観

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