勤務医に広がるハイブリッド型のワークスタイル
どんなに給料が高い仕事でも、連日のハードワークで体調を壊してしまうような働き方では元も子もない。かとって、脱サラをして起業することにはリスクが伴う。そこで、リスクを抑えながら、ワークライブバランスも良好で、高年収が狙える働き方はないものだろうか。そうした視点から、近年人気が高まっているのが、ハイブリッド型の働き方である。
同じ会社の中で、通勤と在宅勤務を併用するハイブリッドワークはコロナ禍以降に普及してきた。週5日の通勤をするよりも体力的には楽になると好評だが、給与面の上昇は期待できず、逆に年収ダウンの要因になることが欠点として指摘されている。
海外では、Googleがリモートで働く社員の給料を最大で25%カットしていることがロイターによって報じられている。Googleの給与体系は勤務地を基準に算定されているため、これまで長距離通勤をしていた社員が、リモートワークによって「自宅」を勤務地にすると、給与が下がってしまう構造になっている。
■Pay cut: Google employees who work from home could lose money
社内の昇進でも、在宅勤務者が通勤者よりも不利になることがあり、雇用型のリモートワークが理想的な働き方とは言えないことも露呈してきた。そこで、雇用される時間とフリーで仕事をする時間を使い分けたハイブリッドワークが注目されるようになっている。
具体的な変化として出てきているのが、病院に勤務する医師達の働き方である。
勤務医の平均年収は、サラリーマンの中では最上位にランキングされているが、週あたりの勤務が60時間を超している医師は4割を超しており、ワークライフバランスの面では幸福度の低い職場となっている。
そこから抜け出すには、独立開業する選択肢があるが、必要資金の調達や失敗した時のリスクを考えると、なかなか踏み切れるものではない。そこで、勤務医としての仕事は一定の範囲に収めながら、副業や投資で収入を伸ばそうとする「ハイブリッド勤務医」が増えてきている。医師の副業については、オンラインドクターや医療記事の監修など、選択肢は多いことから手掛けやすく、そこで稼いだ資金を投資で運用することにより、生涯資産を増やしていくスタイルだ。
《医師が手掛ける副業例》
・オンデマンドの遠隔診療
・企業や学校などの健康診断
・レントゲン写真の読影
・医療や健康についての記事執筆、監修
・健康食品などの製品監修
・非常勤の在宅診療サービス
・セミナー講師
・不動産賃貸業
海外でも、医師が副業として第二の収入源を作ることは進んでいる。医療系情報サイトの Medscapeが 2500人の米国医師に行った調査では、およそ4割の医師が副業を実行しており、平均で年間25,300ドルの収入を得ている。米国勤務医の平均年収は約20万ドルで、日本(約1300万円)よりも高いが、本職のプレッシャーやストレスから解放されるためにも、年間3万ドル程度の副収入を稼ぎたいと考えている。
このようなセカンドビジネスへの移行は、医師以外でも、専門的な知識はスキルを持つ職種の中で広がっているため、専門人材を求める企業では、従来の雇用とは異なる採用活動を行う必要がある。その方法は、従来のフリーランス委託契約とも違ったオープンタレント制が注目されている。
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