米国勤務医の4割は 副業を行っており、病院の給料だけには頼らないハイブリッド型の収益構造を形成しようとしている。副業の収入は年間2.5万ドル程度と本業と比べれば低いものの、本業のストレスから解放されるには重要な収入源と考えている。(JNEWSについてトップページ
勤務医に広がるハイブリッド型のワークスタイル

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JNEWS会員配信日 2023/3/10

 どんなに給料が高い仕事でも、連日のハードワークで体調を壊してしまうような働き方では元も子もない。かとって、脱サラをして起業することにはリスクが伴う。そこで、リスクを抑えながら、ワークライブバランスも良好で、高年収が狙える働き方はないものだろうか。そうした視点から、近年人気が高まっているのが、ハイブリッド型の働き方である。

同じ会社の中で、通勤と在宅勤務を併用するハイブリッドワークはコロナ禍以降に普及してきた。週5日の通勤をするよりも体力的には楽になると好評だが、給与面の上昇は期待できず、逆に年収ダウンの要因になることが欠点として指摘されている。

海外では、Googleがリモートで働く社員の給料を最大で25%カットしていることがロイターによって報じられている。Googleの給与体系は勤務地を基準に算定されているため、これまで長距離通勤をしていた社員が、リモートワークによって「自宅」を勤務地にすると、給与が下がってしまう構造になっている。

■Pay cut: Google employees who work from home could lose money

社内の昇進でも、在宅勤務者が通勤者よりも不利になることがあり、雇用型のリモートワークが理想的な働き方とは言えないことも露呈してきた。そこで、雇用される時間とフリーで仕事をする時間を使い分けたハイブリッドワークが注目されるようになっている。

具体的な変化として出てきているのが、病院に勤務する医師達の働き方である。
勤務医の平均年収は、サラリーマンの中では最上位にランキングされているが、週あたりの勤務が60時間を超している医師は4割を超しており、ワークライフバランスの面では幸福度の低い職場となっている。

《国内勤務医の週あたり勤務時間(令和元年)》

そこから抜け出すには、独立開業する選択肢があるが、必要資金の調達や失敗した時のリスクを考えると、なかなか踏み切れるものではない。そこで、勤務医としての仕事は一定の範囲に収めながら、副業や投資で収入を伸ばそうとする「ハイブリッド勤務医」が増えてきている。医師の副業については、オンラインドクターや医療記事の監修など、選択肢は多いことから手掛けやすく、そこで稼いだ資金を投資で運用することにより、生涯資産を増やしていくスタイルだ。

《医師が手掛ける副業例》
・オンデマンドの遠隔診療
・企業や学校などの健康診断
・レントゲン写真の読影
・医療や健康についての記事執筆、監修
・健康食品などの製品監修
・非常勤の在宅診療サービス
・セミナー講師
・不動産賃貸業

海外でも、医師が副業として第二の収入源を作ることは進んでいる。医療系情報サイトの Medscapeが 2500人の米国医師に行った調査では、およそ4割の医師が副業を実行しており、平均で年間25,300ドルの収入を得ている。米国勤務医の平均年収は約20万ドルで、日本(約1300万円)よりも高いが、本職のプレッシャーやストレスから解放されるためにも、年間3万ドル程度の副収入を稼ぎたいと考えている。

このようなセカンドビジネスへの移行は、医師以外でも、専門的な知識はスキルを持つ職種の中で広がっているため、専門人材を求める企業では、従来の雇用とは異なる採用活動を行う必要がある。その方法は、従来のフリーランス委託契約とも違ったオープンタレント制が注目されている。

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