緊急事態宣言が続く中でも、日本では 通勤を控えて在宅勤務をしている人の割合は、就業者全体の1~2割。中小企業は大企業よりも在宅勤務率が低く、非正社員が出勤を控える場合は無給休暇となるケースも多い(JNEWSについてトップページ
コロナ危機下で生じるリモートワーク格差と職場崩壊

JNEWS
JNEWS会員配信日 2020/5/2

 新型コロナの感染拡大を防ぐため、人との接触機会を8割削減することが求められる中、在宅勤務制度を導入する企業は増えている。しかし、国内の就業者数全体(約6600万人)でリモートワークをしている人の割合は、1~2割程度とみられている。

雇用問題の調査研究を行うパーソル総合研究所が、全国で約2.5万人の就業者を対象にインターネットで行った調査によると、2020年3月半ばのリモートワーク(在宅勤務)実施率は13.2%だったが、緊急事態宣言後(4月8日以降)は全国平均で27.9%に上昇している。ただし、この数字は正社員を対象としたもので、非正規社員のリモートワーク実施率は緊急事態宣言後も17.0%にまで下がる。

非正規社員に在宅勤務が認められない理由は、会社によっても異なるが、契約社員、パート、アルバイトなどの立場では、通勤しない=無給休暇の扱いになることが多い。

そのため、仕事に関していえば、現在でも8割近い人が感染のリスクを感じながらも、出勤しているのが現状で、会社の規模でみると、大企業よりも中小企業のほうがリモートワークの実施率は低く、大企業の中でも、リモートワークができるのは一部の部署に限られている。オフィスや店舗での接客や電話対応は非正社員に任せ、正社員は在宅勤務というケースも多いのが実態である。

《緊急事態宣言後のテレワーク導入率(正社員)》

《テレワークができない理由》

新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査

一方、米国は日本よりもリモートワークの導入率が進んでいるものの、シンクタンクの「Global Workplace Analytics(GWA) 」の調査によると、週の半分以上を在宅勤務している就業者は約500万人(労働人口の3.6%)に過ぎない。しかし、コロナウイルスを転機として2021年末までには、労働人口の25~30%が、週に数回以上の在宅勤務を行うリモートワーカーになると予測している。

コロナ危機前の調査においても、会社に勤める就業者の8割は週に何日かの在宅勤務を希望しており、その3分の1は、在宅勤務の待遇を得るためならば、給料のダウンも受け入れると回答している。

GWAの分析では、米国サラリーマンの56%(7500万人)は、在宅勤務が可能な職種であり、企業(雇用主)にとっても、週の半分を在宅勤務にするだけでも、オフィス家賃、会議、出張などにかかるコスト軽減で、社員1人あたりで年間11,000ドルの経費削減効果がある。

従業員側でも、週に半分の在宅勤務でも通勤にかかる負担は減るため、年間を通すと2,500~4,000ドルの節約が見込めると試算している。通勤をすべて不要にしたフルリモートワークであれば、家賃や地価の安いエリアに引っ越すことも可能なため、さらに節約効果は大きくなる。こうした考え方は、コロナ終息後の社会にも定着することになり、「STAY HOME」の次に訪れるのは、「Work-At-Home」の価値観になると予測されている。

Work-At-Home After Covid-19 -Our Forecast(GWA)

しかし、従来型の企業が、すべての業務をリモートワークに切り替えることは難しく、在宅勤務が認められるには「一部の人達」に限られてくることは、アフターコロナの世界も変わらない。今後の労働市場では、賃金が高い・安いの所得格差に加えて、在宅勤務の待遇が得られるか否かによる、リモートワーク格差が開くようになる。

その一方で、感染リスクが高い状況では働かなくてはいけない職場では、従業員が大量辞職して通常業務が回らなくなるような「職場崩壊」が起きることの懸念されている。

コロナ禍で外出自粛が求められる米国でも、在宅勤務ができる労働者は全体の3割程度とみられ、残り7割の人は感染のリスクを抱きながらも、従来通りの通勤をしているのが実情である。これは、職種によっては在宅勤務が難しいこともあるが、同じ会社の中でも、リモート組と通勤組に分かれているケースが多く、雇用格差の新たな火種になりつつある。

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・アフターコロナで起きる職場崩壊の仕組み
・医療現場で起きている看護師の職場離脱
・感染リスクの高い危険職種ランキング
・リスクと報酬からみた労働市場の変化
・失業者を救済する従業員一時雇用仲介ビジネス
・在宅勤務で再考されるオフィスの役割と費用対効果
・パンデミック最前線で働くギグワーカーの報酬制度

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