家賃や物価が高騰している米シリコンバレーやニューヨークでは、住みやすさを求めて地方へ回帰する人達が増えている。背景には、仕事のスタイルや家族形態が変化していることもある。東京でも35歳をターニングポイントにして転入者と転出者のバランスが逆転する(JNEWSについて
大都市から地方へと回帰するエリート人材の異変

JNEWS
JNEWS会員配信日 2019/1/9

 現状の生活に対して不満を抱えている場合には「住む場所を変えること」が、効果的な改善策の一つになるが、収入の高い仕事を求めるのであれば、地方よりも都会のほうがチャンスは大きく、人口分布でみると、それが東京圏への一極集中に繋がっている。

住民基本台帳人口移動報告によると、転出者よりも転入者のほうが多い“転入超過”となっているのは、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県などの東京圏を中心とした7都県のみで、残りの都道府県はすべて“転出超過”となっている。ただし、この特徴だけで、今後の変化を読み取ることはできない。

《都道府県別の転入超過数》

東京圏への人口流入が最も大きかったのは、戦後の高度成長期にあたる昭和30~40年代で、ピーク時には年間で40万人を超す転入超過があった。しかし、現在の転入超過は年間で7.4万人に落ち着いている。昭和40年代の東京は、文化、教育、仕事、すべての面で地方に勝っており、東京の大学に進学をして、東京の大企業に就職することが、サラリーマンとして出世する道筋になっていた。


東京優位の特性は今でも変わらないが、仕事以外の面では、地方のほうが暮らしやすく、東京を離れる人が次第に増えている実態もある。東京都の年齢別にみた、平成29年の転入転出データでは、転入超過となっているのは18~34歳の若年層であり、35歳を境にして、転出者の数が上回るようになる。そして、50歳以降の世代では、東京から離れる傾向が顕著に出ている。

《東京都の年齢別転入転出者数》

これからの人口移動は、仕事を求めて大都市へ向かう人達がいる一方で、住みやすさを求めてして、再び地方へと回帰する人達も増えてくる。これは世界の先進国に共通した傾向で、背景には、仕事の形態や家族関係が多様化していることある。ウォール・ストリート・ジャーナルの記事でも、米国では新たな仕事を得る目的で転居する人の減少傾向が鮮明になっていることが言及されている。

都会では年収の高い仕事を見つけやすいが、シリコンバレーやニューヨークの住宅コストは高騰しているため、収入アップのために転居をすることの魅力は薄れてきている。また、母親と父親が協力で子育てをする風潮が高まっているため、子どもと離れた都会に単身赴任することを望まないケースが増えている。これは、離婚した夫婦の子育てにも共通した傾向である。

仕事のための転居に消極的 、米国人に広がる風潮(WSJ)

こうした価値観は、日本人の中にも芽生えてきており、東京で働き続けるだけでは、本当の幸福感を得ることは難しく、地方で暮らすことに憧れを抱く人達は、30代以降の世代に増えている。日本政府としても、東京圏の人口集中を是正する政策を掲げていることから、2019年は「地方移住」がビジネストレンドとしても浮上してくることになりそうだ。今回のレポートでは、エリート人材を中心に起きている生活の変化を掘り下げながら、そこから生まれるビジネスチャンスを探っていきたい。

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JNEWS会員レポートの主な項目
・株価の影響を受ける大都市の生活
・狭小化していく大都市の生活スタイル
・Cost-of-Living重視の考え方と価値観
・日本の地方移住に適した職業の特徴
・起業の足掛かりとする地域おこし協力隊の活用
・地方移住に関わる市場規模の捉え方
・観光旅行者よりも大きな地方移住者誘致の経済効果
・2019年有望ビジネスの着目点(変化する成功と幸福の価値観)
・規制緩和される市街化調整区域を狙った地方再生ビジネス
・職住近接で求められる単身者向けマイクロアパートメント開発
・過疎地に眠る遊休物件を活用したローカルビジネスへの着眼
・二拠点居住を実現させるセカンドハウスの取得と活用スタイル
・核家族の寿命と60代からマイホームを住み替える人生計画

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