欧米ではエリート層を中心に、高級物件で共同生活をする「コリビング住宅」の生活スタイルが生まれ、関連の物件開発が進んでいる。日本のシェアハウスとは異なるもので、ホテル暮らしに似た環境で、かつ孤独を解消できるスタイルとなっている。
エリート層向けコリビング住宅から生まれる新生活スタイル

JNEWS会員配信日 2018/6/23

 ワークスタイルの変化として、事務所スペースを共有しながら独立した仕事を行う「コワーキングオフィス」は世界的に普及してきたが、住宅環境においても「Co-Living(コリビング)」のスタイルが、新たなトレンドとして浮上してきている。

その特徴は、家具や付帯サービスがセットになった集合住宅で、住民同士が交流できる共有スペースやイベントも充実していること。住民同士のプライバシーは保ちつつ、集合住宅を1つのコミュニティとして機能させることである。大都市では、隣人との関係が希薄になっている集合住宅が大半だが、コリビングは、そうした都市生活の“孤独や寂しさ”を解消しようとするライフスタイルでもある。

2015年に米ニューヨークで創業した「Common」は、コリビング型の集合住宅を開発するスタートアップ企業だ。同社がデザインする集合住宅の各戸には、独立したベッドルームと収納スペースがあるが、リビング、キッチン、複数のトイレ・バスルームは、10名前後の入居者が共有する、高級シェアハウスの形式になっている。

Commonがニューヨーク、サンフランシスコ、シカゴ、ワシントンDCで展開する物件では、入居者が“家賃”ではなく“会費”を払う方式で、その中には、家具のレンタル代や清掃サービスの料金も含まれている。会費は、物件によっても異なるが、月額1,500~2,000ドル。ルームパートナーを探して、大都市の好立地にある高級マンションを共有するのと同等の価格設定になっている。

入居者メンバーは、チャットアプリの「Slack」によってグループが組まれ、生活に困ったことがあれば、相互に助け合えるようになっている。このグループには、物件管理会社や Commonのスタッフも加わるため、メンバー同士のトラブルが起こりにくい配慮がされている。入居者は、数ヶ月単位で転勤や移動をする企業の社員、フリーランス、アーティストなどが多い。

また、英国ロンドンの近郊、グランドユニオン運河に隣接したエリアに建設された「The collective Old Oak」も、コリビングの形を具体化させた、約500人が入居可能な新コンセプトの集合住宅(11階建)である。約10平米の個室には、ベッドやデスクなどの家具、簡易キッチン、専用バスルーム、Wi-Fi、ケーブルテレビなどが完備されて、2週間に1回の室内清掃サービスもある。

さらに共有スペースが充実しているのが特徴で、コワーキングオフィスとしても使える共同ラウンジの他、共同キッチン、ジム、ゲームルーム、図書室などがある。イベントスペースでは、音楽ライブやゲストスピーカーによる講演、各種のレッスンやワークショップなども開催されている。

この物件も家賃制はなく、週単位のメンバー会費を支払う方式で、1週間あたりの会費は290ポンド(約4.2万円)、1ヶ月間の利用で 約1,100ポンド(約16万円)になるように設定されている。

このようなコリビング集合住宅は、ホテルでもアパートやマンションでもなく、新たな生活スタイルを実現できる住居施設として、各大都市に広がりはじめている。

 日本でも、一軒の家を複数の入居者で共同利用するシェアハウスは普及してきたが、様々なトラブルを抱えているのも事実である。シアハウス事業を成功させる上で、最も重要なポイントは、共同生活をする入居者同士のマッチングだが、賃貸経営の視点では、投資利回りを高めるため、入居者を増やす(空室を埋める)ことを優先して、同居する人間関係にまでに配慮しているケースは少ない。

一方、欧米で浮上してきた「Co-Living(コリビング)」のトレンドは、若いエリート層を対象として、従来の単身住宅では得られなかった「同居人との豊かな人間関係(=孤独や不安の解消)」を築くことを目的としたものである。

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