アパレル業界に起きるジェンダーレスの波とブランド開発
男女の区別がある商材といえば、アパレルやファッション用品が筆頭に挙げられるが、この業界にも古い常識を変革させる波が起きている。発端となっているのは、SNS上で、女性向け、男性向け商品への疑問や不満を問いかける投稿が増えていることがある。
たとえば、レディースの服には機能的なポケットが使える服が少ないという問題がある。従来のアパレルブランドは、「女性らしさ」を重視したデザインの新作服をシーズン毎にリリースすることで流行を生み出してきた。しかし、女性の社会進出が進む中では、男性と同等に働いたり、アクティブな活動がしやすい、機能重視の服が求められるようになっている。
女性用のブレザーやスラックスには、ポケットが無いか、飾り程度のポケットであることが多く、iPhoneを入れられる程の実用性が高い服は少ない。スマートフォンを持ち歩くことが必須となった時代に、女性の服にポケットが無いことは、男女のテクノロジー格差を広げやすいという指摘もある。そのため、服の機能性を重視する女性の中では、レディースのスーツは選ばずに、ジェンダーレスのスーツをオーダーメイドする消費行動も起きている。
2012年に米ニューヨークで創業した「Bindle & Keep」は、その人の体系に合ったジェンダーレスなカスタムスーツを製造販売するブランドとして人気が高まっている。スーツの価格は、ジャケットとパンツのセットが895~1295ドル(9.7~14万円)の設定で、同時に3着購入すると3着目は50%オフ、5着の購入で6着目が無料になる割引パッケージも用意されている。

主な顧客となっているのは、LGBTQ+層に加えて、ジェンダーレスな働き方を求めるストレート層のビジネスパーソン、さらに結婚式で着るスーツのオーダーも多い。採寸は基本的に、ブルックリンにある店舗で行われるが、コロナ禍ではSkypeやFaceTimeを利用したオンライン採寸にも対応している。採寸後は、10~11週間で完成したスーツが自宅に配送される。
Bindle & Keepでは、ジェンダー問題に悩む人達が、自分に合ったスーツを仕立てることで人生を変えていくまでの過程を描いたドキュメンタリー映画「Suited」の中でも、オーダースーツの製作を担当しており、SNS上でも共感を集めている。
■Bindle & Keep
■Suited(ドキュメンタリー映画)
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