ドローン市場は、ホビー用途から事業用途へと 需要がシフトしており、各業務に適した機体の開発やパイロットの養成ニーズが高まっている。ドーロン事業の拠点は飛行制限の無い地域が適しているため、地方都市にとっての経済効果が大きい(JNEWSについて
商用ドローン市場が生み出す雇用とローカル経済効果

JNEWS
JNEWS会員配信日 2016/3/11

原稿加筆 2019/7/23

 各分野でドローンの商用利用が進むことにより、ドローンを扱える人材の求人が増えることは間違いなく、米国際無人機協会(AUVSI)では、2025年までに米国内だけでも10万人の雇用が見込めると試算している。しかも、その給与水準は、他の職業と比べても高いものになっている。

《ドローン関連人材の給与水準》

既存の大学でも、機械工学や自動車工学への人気は頭打ちになっていることから、無人飛行機の設計やオペレーションを学べる学部を新設しようとする動きもみられる。無人航空機システム(UAS)を専門テーマとして学位を取得した学生は、自分で起業したり、メーカー企業からの引き合いも強い。

たとえば、オクラホマ州立大学にはドローン専門の博士課程があり、無人飛行機の設計やデザイン、自動操縦システムなどを大学院レベルで学ぶことができる。また、ノースダコタ州立大学は、航空科学と精密農業の研究で世界トップクラスの実績があり、ドローンを活用したインテリジェンス農業の研究も行われている。

オクラホマ州立大学の無人航空機システム学科
ノースダコタ州立大学の航空宇宙学科

 オクラホマ州やノースダコタ州のように、航空科学の拠点が田舎に多いのは、広大な土地の中で、自由に飛行機を飛ばすことに適した環境であることが大きい。これはドローン開発ビジネスにも共通することで、優れた教育機関(大学)がある地域では、卒業生が起業をしたドローン企業も登場して、新たな雇用を創出する。

オクラホマ大学の卒業生が創業したDII, LLCは、州の橋渡しにより、米政府との太いパイプを持ち、太陽光発電システムを搭載したドローンの開発を進めている。太陽光をエネルギーとすることで、他のドローンが抱えているバッテリー問題(航続時間が短い)を解消することができる。この技術は米空軍に採用されている。

テキサス州にもドローン関連の企業が多く、米連邦航空局に承認された事業者の数でも、カリフォルニア州、フロリダ州に次いで全米3位となっている。

テキサス州にあるDrone Labs社が開発した「Drone Detector(ドローン・ディレクター)」は、飛行が規制されたエリア内に接近するドローンを、電波、GPS、プロペラ音の3方向から検知できるシステムで、世界で市販されているドローンの特徴を事前にデータベース化しておくことで、不正に侵入しようとするドローンの機種までを判別することができる。

誰でも簡単にドローンを飛ばせるようになり、空からの侵入を監視しなくてはいけない防犯対策は、空港、住宅密集地、工場など企業の私有地、刑務所、政府機関、学校、イベント会場など、広範囲の及ぶことから、ドローンを検出できるシステムの潜在的な市場規模は大きいとみられている。このドローンディレクターに対しては、日本国内の独占販売権を大手商社の丸紅が取得している。

世界のドローン市場は、ホビー用途から事業用途へと需要がシフトしており、映画の撮影、建設や土木の測量、農業、セキュリティ上の警備や監視業務などに活用され始めている。そこに向けては、用途に応じた機体の開発やカスタマイズ、パイロット養成のニーズがある。ただし、各事業者がドローンを飛行させるのは、年に数回程度というケースが大半を占めるため、ドローンパイロットはフルタイムで雇用されるよりも、個人事業者として必要な時に現場へ出張する形態が多くなるとみられている。

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