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障害者雇用の世界的投資と従業員リソースグループ

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JNEWS会員配信日 2023/9/20

 人間は年齢とともに身体機能は次第に衰えて、何らの不自由を感じるようになる。その点では、障害を持つことは特別なことではなく、すべての人に共通した悩みである。障害があっても快適な生活や仕事ができる社会環境は「障害者インクルージョン」と呼ばれて、高齢者市場の拡大と共に成長していくことになる。

WHOによると、世界の高齢化により、2030年までには世界人口(80億人)の25%にあたる20億人が、身体の障害を支援するツールが必要になるといわれている。
海外企業にとっても、障害者の仕事環境に対する投資は重要項目になっているが、その視点は、障害者雇用を「福祉」と捉えるのではなく、障害者の潜在能力を引き出すことで生まれる「経済性」に着目することである。

「The Valuable 500」は、障害者雇用に前向きな世界の有力企業500社によって結成された団体で、障害を抱える労働者にとって働きやすい職場環境への投資を行い、障害者雇用の世界的な指針を作ることを目標としている。具体的な行動としては、社内の管理職を対象にした障害者インクルージョン研修を行うことや、障害を抱える社員が集まり、話し合いが行える従業員リソースグループを作ること、障害をアシストできるデジタルツールの導入などが掲げられている。

The Valuable 500

 現在の一般的な職場では、何らかの身体的問題を抱えていても、それを隠しながら働いている社員が少なくない。たとえば、同じ業務を続けることにより生じやすい、視力の低下、難聴、腰痛などは、労働災害(労災)と捉えられる可能性もあるため、企業は直接的には関与してこなかった。米国政府の調査によると、企業は、従業員が抱えている障害の30%以上を把握していない。

しかし、身体の問題によって、仕事の生産性が下がることは、会社の損失に繋がることから、障害についてオープンな話し合いができる職場環境への変革をすることも、障害者インクルージョンの取り組みになる。

それら話し合いの方法としては、従業員リソースグループ(ERG)の活用が推奨されている。ERGは、共通した個性や人生経験を持つ従業員同士が参加する職場のコミュニティで、米国の大企業では、世代別、人種や民族、性的指向、シングルマザー、退役軍人、身体的な問題などの属性別に、多種類のグループが形成されるようになっている。

労働組合は、すべての従業員が一丸となって給与や労働条件の交渉を雇用主と行う団体であるのに対して、ERGは、マイノリティな悩みを抱える従業員同士が自発的に集まることで、本質的に異なっている。

ERGは社内で形成されるのが一般的だが、そうした少数派のグループ活動を雇用主が奨励して、彼らの悩みや要望に添った職場改善をしていくことが、多様性社会では重要視されて、従業員満足度、退職率の低下、求人応募者数などの指標にも表れている。そのため、米国大企業の8割では、少なくとも1つ以上のERGが形成されるようになっている。

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・リモートワークで促進させる障害者雇用
・日本とは異なる世界の障害者雇用システム
・職場を改善する従業員リソースグループの役割
・精神疾患者を優秀人材に育てる視点と方法
・新労働力として活用される障害者の就労支援市場
・農福連携で成長する植物工場と障害者ビジネスの接点
・ジェンダーレス社会で変革される企業の常識と事業形態

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