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コンシェルジュ医療によるクリニックの収益変革モデル

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JNEWS会員配信日 2023/1/18

 健康についての相談を気軽にできるプライマリケア(家庭医)は、2つの方向に二極分化していくことが予測されている。1つは、小売店の一角やオンラインサイトで年中無休の診療が安価で普及していくことだ。しかし、Minute ClinicやAmazon Clinicなどの簡易クリニックは、従来の医療サービスに足りない部分を補完するもので、「かかりつけ医」に代わるものではないことは、医学界でも指摘されている。

一方で、米国プライマリケア・ドクターの中では、これまで平均で2000人以上担当してきた患者を500人以下に減らして、より丁寧な対応をしようとする動きがみられる。これは「コンシェルジュ医療(Concierge Medicine)」と呼ばれる、新分野の診療スタイルで、収益構造の面でも新たなビジネスモデルが形成されるようになっている。

具体的には、患者から年会費を徴収する有料会員制として、完全予約制で1人あたりの診察時間を長く取ったVIP対応の診察を行う。担当医によるオンライン相談対応も会員サービスに含めることで、本当の意味での「かかりつけ医」を目指すものだ。

米オハイオ州シンシナティにある Headache Center of Hope (HCOH)は、片頭痛の治療を専門とするホープ・オブライエン医師が2021年に開業したクリニックで、初診では1時間以上の診察をした後、一般的な治療法に加えて、慢性的な片頭痛に効果のあるオナボツリヌス毒素A注射、神経ブロック、鍼治療、その他の新薬を使用した治療なども、患者の症状に応じて実施している。

同クリニックの診療体系には、年間のメンバーシップ制が導入されているのが特徴で、患者は年間3,900ドル(約50万円)の会費を払うと、オブライエン医師の診察を24~48時間以内に受けられる予約権利が得られる。年会費の中には、初回相談(約1時間)+4回の通院、1回の緊急治療、オンライン相談にかかる料金までが含まれている。それ以外のオプション治療を行う場合にも、割引料金が適用される。

オブライエン医師は、この会員制度を導入することで、従来の診察スタイルではかけられなかった長い診察時間を、1人ずつの患者に費やすことができるようになり、患者側の満足度も向上している。

Headache Center of Hope(HCOH)

 従来の医療は、治療の内容によって料金が算定される方式が採用されている。
そのため、医師は短い診察時間の中で、できるだけ報酬点数の高い治療や、薬を処方しようとする。それに対して、コンシェルジュ医療は、年会費方式で患者に「医師の時間」を買ってもらうことで、相談やカンセリングを主体とした、患者にとっても満足度の高い診療を行おうとするものだ。

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