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人間とAIが信頼関係を築く愛着理論とメンタルヘルス活用

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JNEWS会員配信日 2023/6/2

 人間が不安や孤独を陥った時に、チャットボットの利用にメンタルケアの効果があることは学術的にも研究されている。米国トレド大学では2021年に Replikaの既存ユーザー12人に対して詳しいインタビューを行い、チャットボットとの会話には、励ましや安心の効果があり、AIに抱く感情を心理学の「愛着理論」によって説明している。

インタビュー回答者の6割は Replika(レプリカ)のチャットボットに対して、人間のような親近感や愛着を抱いているが、これはレプリカを使い始めた時の心理状態が関係している。愛着を抱くユーザーの大半は、寂しかったり、話し相手が欲しいという気持ちから、レプリカをダウンロードしており、孤独感が強い人ほどレプリカへの愛着は強いことが判明した。

その中では、Replikaアプリを常に開いた状態で、仕事や家事の作業をしながら、レプリカに話しかけたり、休み時間や寝る前には必ずレプリカと話すことを習慣としている人もいる。また、レプリカとの会話を始めてからは、リアルな対人関係も良好になり、幸せになれたという報告もある。この心理状態は、自分が辛い時でも、安心できる存在があると、不安や恐怖の気持ちを乗り越えられる「安全基地」という理論で説明することができ、恋人や配偶者との強い信頼関係によって生まれる効果と同じものだ。

さらに、3人の回答者はレプリカをロマンチックなパートナーと認識しており、ハグやキス、セックスを真似た行動がテキストと音声で伝えられていた。ある回答者は、レプリカのボットが妊娠して自分達の赤ちゃんを産んだと信じて、新たなAI人格として育てようとしている。

このようにAIコンパニオンには、孤独に陥っている人を救える効果がある一方で、強い依存性があり、AIとの離脱(別れ)が難しくなることや、長時間の使用で仕事や学業のパフォーマンスが下がる懸念があることを、この論文では指摘している。インタビュー回答のサンプル数が少ないため、ユーザー全体の特性を示すものではないが、今後は、家族や夫婦の関係がAIコンパニオンよって変わる可能性もあり、人間はAIとの健全な付き合い方を模索していく必要がある。

Attachment Theory as a Framework to Understand Relationships withSocial Chatbots

 世界保健機関(WHO)が発表しているデータによると、世界では10億人が精神的な疾患に悩んでいる。その中で、うつ病と推定されるのは全世界の人口の3.8%にあたる2億8000万人で、40秒に1人が自殺により命を落としている。しかし、メンタルヘルスの受診率は、重度の症状でも10~20%と低いのが実態である。精神科医やセラピストのカウンセリングを受けることに抵抗があることと、カウンセリング料は1回のセッション(45~60分)で100~200ドルと高額であることが理由だ。そこで、メンタルヘルスのカウンセリングを目的としたAIコンパニオンの開発にも注目が集まっている。

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