うつ病の防止や症状改善を目的としたメンタルヘルスの分野でも、AIによチャットボット活用が研究されている。AIと定期的なチャットをする中で、精神的な疲労度が判断されてストレスを解消する会話が交わされる(JNEWSについてトップページ
うつ病治療に導入されるチャットボットのカウンセリング力

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JNEWS会員配信日 2019/8/10

 うつ病の防止や症状改善を目的としたメンタルヘルスの分野でも、AIによチャットボットが活用されるようになっている。スタンフォード大学の臨床心理学チームが開発した「Woebot」は、認知行動療法(CBT) のメソッドに基づいて開発された自動会話型のAIエージェントで、Facebookメッセンジャーやスマホアプリを通したコミュニケーションで、メンタルヘルスのサポートをすることができる。

Woebotは、毎日または1日おきに「いま何をしているの?」「気分はどう?」「元気のレベルは?」などのメーセージを送信してくる。それに対する返信内容、単語の使い方から、ストレスのレベルを判定して、精神的な疲労度が高い場合には、気分が和らげたり、気持ちがポジティブになるような会話を進めていく。
ボットが悩み事の解決策を提示するわけでないが、会話の中で前向きな思考へと導こうとする。

ボットは定期的な会話をする中で、ユーザーの気持ちが落ち込みやすい曜日や時間帯のパターンを把握して、不安な状態に陥る前に、ジョークに富んだメッセージを送ったり、気晴らしになるYouTube動画やゲームなどの紹介をして、うつ病を予防する。それでも、ユーザーのメンタルが危機的な状態になった時には、チャットに「SOS」と伝えることで、カウンセラー(人間)の助けを求められる機能も装備されている。

従来の認知行動療法(CBT)は、医師やカウンセラーが患者の話を聞くことで、悩みの原因となっている問題点の把握や、悲観的な気持ちに陥るパターンの解明、心が軽くなるような思考のトレーニングをしていくものだ。薬を使う治療と比べると副作用が無いのが魅力だが、個別対応のカウンセリングを頻繁に行うことにには限界があり、費用も高いのが難点だった。それをAIエージェントにより自動化させるのが「Woebot」の試みである。

Woebot
■Woebotの紹介映像

2017年に論文として発表された研究成果によると、同アプリを利用した18~28歳グループの中で、うつ病の改善効果がみられ、実験参加者の85%が、ほぼ毎日のペースでWoebotとの対話を続けている。ユーザーはAIとの交流に慣れてくると、人間と同様の愛着を抱く傾向があるが、AIが仮想カウンセラーとしての人格を持ち始めることには一線を画して、このアプリには敢えて「Woebot」という機械的な名前が付けられている。

Woebotは、個人ユーザー向けには、2週間の無料トライアルで具体的な機能を試した後、月額39ドルで継続的に利用できる有料コースが設定されている。主な利用者層は、メンタルに悩む大学生や大学院生の若者である。また、企業が従業員のメンタルヘルス対策として利用できる、法人契約コースも設けられている。

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