医療現場ではAIロボットにより医療ミスを減らす研究がされている。調剤ロボットは処方箋のバーコードを読み取り、該当の薬を取り出して指定の分量だけ自動的に調剤するため、薬剤師がミスをするリスクを大幅に軽減することができる(JNEWSについて
学習効果を高めて医療ミスを軽減するAIロボット

 病院や診療所ではヒューマンエラーによる医療ミスが深刻な問題になっているが、人工知能搭載のロボットによりミスの発生を減らそうとする研究も進められている。

カリフォルニア大学サンフランシスコ校の付属病院、UCSFメディカルセンターでは、2011年からロボットによる調剤システムを導入している。医師が電子的に出した処方箋にはバーコードが記載されており、それを受け取ったロボットが情報を読み取って該当の薬品を取り出し、指定の分量を調剤する仕組みになっている。調剤された薬は、看護師が処方箋のバーコードと一致していることを確認した上で、患者に与えられる。


※調剤ロボットシステム「swisslog BoxPicker


病院にとって調剤ロボットの導入は、薬の種類や量を間違える人為的なミスを減らせることと、薬剤師の人件費を軽減できる、二つのメリットがある。現時点では、米国の法律により、ロボットに調剤させても、薬剤師がその場にいることが求められるため、薬剤師の仕事がロボットに奪われるということはないが、法律が改正されると、薬剤師の職が脅かされる可能性がある。

調剤ロボットに搭載される人工知能は、症状と薬の作用についての矛盾を発見したり、薬と薬の飲み合わせや副作用のチェックも行えるため、医師が間違った薬を処方した場合でも、患者に薬を与える前に医療事故を食い止めることができ、その精度は調剤の経験を積むほど高くなっていく。

■ロボット調剤の紹介映像(CNNMoney)

さらに、ジョンソンエンドジョンソンの子会社では、麻酔科医の代わりとなる、自動麻酔システムの「SEDASYS(セダシス)」を開発し、2014年に米食品医薬品局の使用認可を取得している。このシステムは、大腸の内視鏡検査で麻酔を使用する際に、患者の脈拍、血圧、酸素量を計測し、自動的に必要な麻酔量を調節して注入することができる。

米国では、大腸ガンなどの内視鏡検査では麻酔を使うことが標準化されており、内科医の他に、麻酔科医が同伴して鎮静状態を維持させていたが、SEDASYSを使用することより、内科医が単独でも検査を行えるようになる。ただし、緊急時には麻酔医がすぐに駆けつけられる状況で使うことが条件になっている。

現在のところは、ロボットによる麻酔の臨床データが少ないため、SEDASYSの使用認可は、安全性が比較的高い内視鏡検査の範囲に留まっているが、他の手術にも利用されるようになってくれば、麻酔科医の需給バランスが崩れることになり、彼らの報酬相場に影響を与えることも懸念されている。

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JNEWS LETTER 2015.9.28
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