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消費者の安全を重視した
eコマースの再構築と販売モデル
written in 2008/12/1

 処方薬が従来よりも割安な価格で、しかも便利に購入できることは、消費者(患者)にとって悪いことではないが、その弊害も深刻化している。広く出回り始めているのが「偽造薬(ニセ薬)」の存在で、世界保健機構(WHO)の報告によると、世界各国に流通している医薬品の約10%が偽造薬とみられている。偽造薬には様々なタイプがあり、有名な医薬品の成分を正式なライセンスを取得しないでコピー製造したものや、正規品の薬をバラして異なるカプセルに入れ替えたり、有効期限切れの正規品を仕入れて販売することもニセ薬に該当する。

当然ながら、これらの偽造薬は正規品よりも品質が劣るために、それを服用し続ければ健康被害が出る恐れがある。しかし処方薬は市販薬と違ってパッケージ単位ではなく、バラ売りされることが多いため、素人ばかりか医師でもなかなか見分けが付かないという。

また正規の処方薬でも、簡単に購入できるようになったことで、逆に健康を害する人も増えている。健康保険の加入率が低い米国では、病院にはできるだけ行かずに、薬だけで病気を治したいと考えている人が多く、自分の判断だけで副作用の強い薬を服用したり、覚せい作用のある向精神薬を大量に購入して、違法ドラッグの代わりに使うケースが急増していることから、米当局では違法なオンラインドラッグストアの取り締まりを強化しはじめている。

欧州でも状況は同じで、安全な薬物の提供を推進することを目的に設立された団体「The European Alliance for Access to Safe Medicines (EAASM)」では、オンライン薬局の9割以上で、処方箋なしで処方薬を販売したり、薬剤師が常勤していないなどの違法な点があると指摘している。もちろん合法で健全なオンライン薬局も存在しているが、それと違法サイトの区別が消費者には付きにくい。そこでインターネットで薬を販売するためのルールや仕組みを新たに構築しようとする気運が高まっている。

しかしこれは、医薬品のオンライン販売を全面禁止にするのではなく、今後の医療改革(Health2.0)では欠かすことのできないインターネットを介して、どうすれば安全に医薬品を流通させていくことができるのかを考える、前向きな取り組みである。このようなeコマースの再構築は、医薬品だけに限らず、消費者への安全を重視した売り方として他の分野にも大切なことで、日本でも、新たに創設される「消費者庁」から、ネット業界が理不尽な規制を受けないために先手となる改善をしていくべきだろう。
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この記事の核となる項目
 ●多様化する薬の流通ルートと医薬品の値崩れ現象
 ●現金問屋による医薬品の二次流通ルート
 ●医師向けの医薬品輸入代行ビジネスの仕組み
 ●暴走する欧米のオンラインドラッグビジネス
 ●患者から処方箋を受け取る方式のオンライン販売
 ●医薬品から始まるeコマース業界の安全改革
 ●無人から有人対応のリアルタイム・オンライン販売へ
 ●リアルタイム・オンラインセールスの仕組み
 ●健康上の不安を解決するアンサリングサービス
 ●保険会社が仲介するメディカル・アンサリング事業
 ●薬害情報の収集と提供をするビジネス
 ●医薬品ポータルサイトのビジネスモデル
 ●グーグルが狙うパーソナルヘルス市場と電子処方箋サービス
 ●30兆円超を動かす医師との関係作りと名医格付ビジネス
 ●病気を治すことから察知することへ変わる Health 2.0の兆し


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