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これからの小売業者に求められる役割と
新しい収益構造の開拓
written in 2004/1/28

 チケット販売業界でトップのシェアを誇る「ぴあ」にしても、各イベントの主催者からチケットを仕入れて消費者に販売をする“小売業者”であることに変わりはない。このようなチケット販売会社にとって、これから大きな驚異となるのが主催者自らがチケットをオンライン直販していこうとする動きで、既にその兆候は出始めている。

人気アーティストが開催するコンサートの良席を獲得するためには、「公式ファンクラブに入会するのが最善策」というのはファン達の間では常識のこと。コンサートの主催者がチケットを流通させていく過程では、まず主催者がチケットを直販するファンクラブ会員用の優先枠を会場前列から順に設定した後、残りの座席をチケット販売業者に卸すといった流れになっている。そのため近頃では、人気アーティストの公式サイト上では、良席チケット獲得を目的としたファンクラブ入会者が急増している。

ネット普及以前は、イベント主催者がチケットを大量に直販するだけの力が持てなかったが、現在ではファンクラブ会員の予約申込だけで、コンサート会場の座席がすべて埋まってしまうこともあるほど、知名度や人気の高いアーティストにとって“直販”は容易なものになっているのだ。これはチケット販売分野に限った話ではなく、すべての商品に共通している傾向だと捉えておくべきだろう。

消費者の立場では、「賢い買い物をするには流通経路のなるべく上流から買うほうが得だ」という考えが浸透しはじめていることから、その流れの中で小売業者がただ手をこまねいているだけでは、これからの小売業者が生き残っていく筋道を立てていくことは難しい。


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改革が求められる小売業者の収益構造

 オンラインで商品を購入する場合には、メーカー直販サイトで買うのも小売ショップで買うのも、消費者側にかかる注文〜商品受取りの手間は全く同じであることを考えれば、販売マージンが上乗せされていない上流から商品を購入したいと考えるのが消費者心理としては正しい。すると仕入原価に利潤を上乗せして消費者に商品を販売するという小売業の収益構造自体が成り立たなくなってしまう。もちろんすべての小売店が消滅することはないにしても、多くの小売店が経営不振に陥っていく流れは避けられそうにない。

そこで、これからの小売業者としては、商品の販売差益から得てきた従来型収益の他に、新たな収益源を見つけることが大切になってくる。そこで今までに培った強みとして活かせるのが「小売りの設備とノウハウ」をメーカーに対して提供することである。各メーカーでは自社の商品を直販してみたいと考えているものの“小売り”に関しては素人であるために、メーカーと小売業者とが、新しい関係で手が組める道があるはずだ。

例えば、ある化粧品メーカーでは自社の公式サイトから一般消費者に向けた製品の直販を行っているが、その小売り機能(商品の受注〜決済、商品発送など)はすべて提携先の通販会社へ外部委託する形で行われている。本来、通販会社のビジネスは、商品の販売差益によって収益をあげるものだが、このケースではメーカーからの“外部委託料”が支払われるために、従来の小売りビジネスよりも安定した収益を得られるのが利点だ。


国内のeコマースサイトも消費者への利便性を追求していけば、次第に高機能、大規模化していく必要に迫られているが、それを実現していくためには設備や人員を拡充していくための資金も大きくなる。ところが「小売業」というビジネスを、商品の販売差益だけで収益を考えていくならば、消費者が上流へと向かっていくことで次第に利潤は薄くなっていってしまう。これが避けられない時代の流れとして、その中でも小売業者が生き残っていくためには、(販売価格−仕入価格=利潤)という以外の、新たな収益構造を開拓していくことが急務といえるだろう。

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