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新NISA制度の株高を牽引するシャドーバンクの金融構造

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JNEWS会員配信日 2024/1/18

 2024年の株式市場は、日経平均が1990年3月のバブル期に付けた最高値を更新するスタートを切った。その要因には、米国の利下げ観測に加えて、新NISA制度の導入により投資家の買い意欲が旺盛になっていることが大きい。その一方で、連日の高値更新により相場は過熱しているため、「バブル崩壊の再来」を懸念する声もある。株価の未来は誰にもわからないが、30年前のバブル期と現在とでは、金融市場を取り巻く環境は大きく変化している。

バブル当時は、「土地が最も信頼できる資産である」という常識の元に、土地を担保とした金融システムが築かれていた。しかし、高騰し過ぎた地価を冷やす目的で不動産業界への融資規制が行われたことで、土地の含み益を担保にしていた融資は焦げ付き、金融市場がクラッシュした。

しかし、2000年代からはIT革命が起きたことで、土地を使わないビジネスのほうが収益性は高くなり、ハイテクやデジタル化による産業構造の転換が起きた。現在の事業価値として評価されているのは、企業の収益性であり、それが株価に反映されている。良くも悪くも、現代は株価至上主義の時代だ。株価が高い企業には資金調達がしやすくなるし、優秀な人材も集まりやすくなる。

一方で、個人向けの金融サービスにも、ここ数年で大きな変化が起きている。一般家庭にとって、株式投資は難しいものであり、銘柄選定を間違えれば大損をするリスクがある。その本質は今も変わっていないが、株式市場全体の指数に連動したインデックスファンドが普及したことで、個別銘柄のことは考えなくても、積み立て投資をしていけば、リスクを平準化しながら長期で資産形成をしていくことができる。

《新NISA枠で人気の投資信託例)》

eMAXIS Slim米国株式(S&P500)
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)

さらに、積み立て投信の購入方法としては、クレジットカードからの毎月決済をする「クレカ積立」をすると、積み立て金額に対して1%前後のポイントが貰えることから、これまで投資に関心の無かった消費者からも人気となっている。楽天証券では、積み立て投信のクレカ決済率が5割を超している。

ただし、クレカ積立の仕組みは、月々の積立額をカード会社に対して一度「借金」をして月末返済する形となるため、毎月の家計が苦しくなり、銀行残高が不足していると延滞利息が発生する。それに気付かないまま数ヶ月放置すれば、信用情報に傷が付くことが欠点である。

《クレカ積立の仕組み》

このように、従来の投資方法が難しかった人達に向けて、ハードルを下げて提供される金融サービスは「シャドーバンキング(影の銀行)」と呼ばれている。通常の借り入れが難しい層に対して行う融資サービスが語源となっているが、投資の知識が無くても購入しやすい投資信託や、AI化された投資アプリなどもシャドーバンキングの一種として進化している。

これらのシャドーバンキングが円滑に機能している間は、株価の起爆剤となるが、もともと資金余力が低い層までも顧客対象に引き上げているため、行き過ぎると、どこかで破綻するリスクも併せ持っている。

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・新NISAつみたて投信の投資戦略
・オールカントリー投信の長期平均利回り
・インデックス投信が牽引する株高トレンド
・インデックス投信の収益構造と手数料体系
・日本政府が模倣する英国ISA制度の非課税枠投資
・投資利回りを引き上げるロボアドバイザー
・英国ロボアドバイザーの仕組みと報酬体系
・シャドーバンクとして普及する残価設定ローン
・住宅市場に適用される残価設定ローンの仕組み
・インフレの裏側で保有資産を増やす米国世帯の特性
・ネット証券と提携する独立系投資アドバイザーの起業

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