医療機器のメンテナンス業務は純正メーカーが独占しており、 病院スタッフや外部の修理業者が消耗品などの交換ができないようにロックがかけられている。しかし、ユーザー側に「修理する権利」を認めてメンテナンスのオープン化を進める動きが世界に広がっている(JNEWSについてトップページ
医療機器メンテナンスの独占業務を崩す新事業の参入点

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JNEWS会員配信日 2021/11/28

 ユーザーの立場から「修理する権利(Right to repair)」をメーカーに認めさせる動きは、業務用機器の分野にも及んでいる。

具体例として、病院に納入される医療機器は、メンテナンス保守契約という形で、メーカーが修理業務を独占してきた長い歴史がある。しかし、コロナ禍の医療現場では、故障した機器の修理に急を要することから、メーカー以外の業者に対しても、修理マニュアルを開示したり、メンテナンス用のソフトウエアにアクセスできる権利を法的に与えることが、急務の課題になっている。

米国の消費者政策を監視する非営利団体「US.PIRG」が2020年7月に発表した、医療機器修理についての調査レポートによると、人工呼吸器や超音波画像装置などのメンテナンスを、外部の修理業者が行うことは、メーカーが許可しておらず、マニュアルが公開されていなかったり、ケースからネジを外すと機能がロックされて、メーカー担当者がリセットするまでは使えない仕様になっている。人工呼吸器の消耗品を交換する際にも、専用のソフトウエアが必要になるため、病院スタッフがセルフで行うことはできない。

外部の修理業者が機器のメンテナンスを行う場合には、メーカーが行う研修会に参加して認定資格を取得する必要があり、法外なライセンス料(1つのデバイスで数万ドル)を払わなくてはいけないなどの問題点が指摘されている。修理コミュニティのiFixitに、医療用滅菌装置のマニュアルが公開されたことがあったが、その時にはメーカー側がiFixitに対して著作権侵害の申し立てを行い、削除させている。

HOSPITAL REPAIR RESTRICTIONS(US.PIRGレポート)

このように、医療機器メーカーがメンテナンス業務を独占することは、患者の生死に関わるケースもあることから、米オレゴン州では、新型コロナの治療に使用する医療機材については、外部の修理業者がデジタルロックを解錠したり、メーカーのメンテナンス保守契約を無効にできる法案が提出されている。こうした医療機器修理のオープン化は、コロナ収束後も進行していく可能性が高いと予測されている。

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