コロナ以降、閉店する飲食店が急増する中、 居抜き物件の仲介業者への問い合わせが増えている。 店を廃業して返却する際には、原状回復の費用がかかる。そこで無償でも店を居抜きで譲渡したい経営者は多い。 (JNEWSについてトップページ
居抜き物件の仲介ビジネスの業界構造と潜在市場

JNEWS
JNEWS会員配信日 2020/8/17

 米国のローカル口コミサイト「Yelp」が行った調査によると、米国内では2020年3月~4月にかけて約17万件の飲食店舗が休業をしているが、その中で75%の店舗は7月以降も営業を再開できていない。3ヶ月以上の休業が続く店舗の6割は、完全廃業を決めているという状況だ。

Yelp Economic Average report Q2 2020

日本でも、全国に約67万件の飲食店があるが、8割の店が売上げを50%以上落としていることから、今後は廃業する店舗も急増してくることが予測されている。

しかし、店を廃業して大家に返却する際には、厨房設備や内装をすべて撤去して入居時の状態に原状回復するための費用がかかる。その金額は、店舗面積1坪あたり5~10万円が相場と言われている。そこで、店を原状回復するのではなく「居抜き」の状態で、新たな経営者に譲渡したいというニーズも高まっている。

前経営者にとっては、無償で現状のまま店を譲渡できるだけでもメリットはあるし、家賃の数ヶ月分で有償譲渡ができれば御の字だ。抜きで賃貸店舗を譲渡するには、大家の許諾を得る必要があるが、大家にとっても、空き物件にして新たな入居者を探すよりも効率が良いため、居抜き取引を容認するケースは増えている。

ただし、新入居者の審査や契約手続きは不備なく行うことが重要になるため、居抜き物件専門の仲介ビジネスが成り立つようになっている。通常の賃貸契約は、宅建業法により、仲介手数料の上限が決まっている(貸店舗は家賃の1ヶ月以内)が、居抜き設備の仲介部分については、宅建業法の適用外となっており、柔軟な手数料体系を作りやすい。言い換えると、それだけ法的整備が遅れた未成熟な市場でもある。

《居抜き物件仲介の手数料例》

コロナ禍では、居抜き店舗の売り案件が増加する一方で、店舗を購入する新経営者を見つけにくくなっているのも事実だ。東証一部上場のテンポイノベーション(3484)は、飲食店舗の転貸借事業として「居抜き店舗.com」を運営しているが、同サイトのアクセス数は、2020年4月以降はコロナ前との比較で約3倍に急増している。居抜き物件の登録数も増加しているが、成約数については前年比で-57%減少した。

《居抜き店舗.comの掲載数と成約数》

居抜き店舗.com

コロナ後の価値が高まる飲食店舗の特徴は、テイクアウトやデリバリーに適した立地条件であることや、ドライブスルーで商品受け渡しができる駐車場付きの物件であることが挙げられている。また、料理教室やレンタルキッチンを開業したい人、料理動画を撮影するスタジオを持ちたいユーチューバーなどにとって、飲食店の居抜き物件は、そのまま業務用の厨房設備を活用できるため都合が良い。

こうした飲食店舗の新たな活用プランを考えて、新規事業者とのマッチングを行うことも、居抜き仲介業者の役割になる。

この内容はJNEWS会員レポートの一部です。正式会員の登録をすることで詳細レポートにアクセスすることができます記事一覧 / JNEWSについて

JNEWS会員レポートの主な項目
・コロナ禍で急増する居抜き物件の売買価値
・スタートアップ向け居抜きオフィスの仲介事業
・居抜き物件仲介の問題を解説するノウハウ開拓
・コロナ禍で廃業するクリニックの売買価値
・開業医の悩みを解消する事業承継型M&Aの仕組み
・コロナ禍で変化するフィットネスクラブへの投資
・遠隔フィットネスクラブのビジネスモデルと費用対効果
・生活様式の変化で閉鎖されるアパレルブランド
・コロナ禍で成長するアパレル再販ビジネスの動向
・プロ投資家が物色するポストコロナの有望テクノロジー

この記事の完全レポート
JNEWS LETTER 2020.8.17
※アクセスには正式登録後のID、PASSWORDが必要です。
※JNEWS会員のPASSWORD確認はこちらへ

この記事に関連したJNEWS会員向けバックナンバー
リアル店舗が活路を開く来店不要のVRコマース導入モデル
廃業者と起業者を繋げる事業承継モデルとM&A仲介
国内で急成長する医療クリニックのM&A仲介と売買価値
親子継承から離脱する中小ビジネスの流動性と価値の高め方
M&Aで評価されるスモールビジネスの価値と経営者の出口戦略
※バックナンバー用ID、PASSWORDを入力してご覧ください。


(儲かる商売の裏側)/(トップページ)/(JNEWSについて)/(Facebookページ)

これは正式会員向けJNEWS LETTER(2020年8月)に掲載された記事の一部です。 JNEWSでは、電子メールを媒体としたニューズレター(JNEWS LETTER)での有料による情報提供をメインの活動としています。 JNEWSが発信する情報を深く知りたい人のために2週間の無料お試し登録を用意していますので下のフォームからお申し込みください。

JNEWS LETTER 2週間無料体験購読

配信先メールアドレス

※Gmail、Yahooメール、スマホアドレスの登録も可
無料体験の登録でJNEWS LETTER正式版のサンプルが届きます。
 
Page top icon