ヘッジファンドや高速売買系の投資運用会社では、経済指標、企業業績、新聞記事などの他、SNSの投稿内容、道路の交通渋滞、クレジットカードの利用歴などを独自にリサーチした上で、世界がコロナショックから復活するサインを探している。
 (JNEWSについてトップページ
ヘッジファンドが探るコロナショック復活のサイン

JNEWS
JNEWS会員配信日 2020/3/22

世界ではコロナ感染者数が140万人を超えて、死亡者数は8万人超と深刻さを増している。各国の経済に与える影響も大きく、米国では失業者数が3月後半からの2週間で1000万人を越してきている。世の中は総悲観といった状況だが、意外にも株価は3月後半から上昇トレンドを描き始めている。主な買い手となっているのは、ヘッジファンドのようである。


ヘッジファンドや高速売買系の投資運用会社では、およそ7割がAIによる投資分析の手法を導入して、自動売買のアルゴリズムが組まれている。AIが分析データとして活用しているのは、経済指標、企業業績、新聞記事などの他、SNSの投稿内容、各企業の動向をリサーチした情報なども含まれている。これらの情報は、金融データプロバイダーとよばれる業者が複数のルートから収集して、リアルタイムまたは数分に1回程度の間隔で配信されている。

投資会社にとっては、どんなデータを採用してAIに機械学習させるのかによって、投資成果が異なってくる。逆に言えば、皆が同じデータセットを利用して自動売買を行うと、相場が一方向に偏りやすく、隠れた有望銘柄を探すことが難しくなる。
現在の金融市場は、AIの性能が進化している一方で、独自性の高いデータは不足している。

そこで注目されているのが、従来の金融分析では使われなかった新種データの発掘である。これはオルタナティブデータ(代替データ)と呼ばれて、特定の分野や業界にフォーカスした、以下のような情報が投資分析で活用されるようになっている。

近年のヘッジファンド業界はユニークなデータを全国、世界規模で収集して、AIに機械学習させることで、他の投資家が気付いていない株価変動の兆候を察知しようとしているのだ。

《投資分析で活用される代替データ例》
○各Webサイトのアクセス数
○SNSの投稿内容
○衛星画像
○クレジットカードの利用履歴
○駐車場に止まっている車の数
○スーパーのPOS情報
○飛行機や貨物船の位置情報
○賃貸物件の家賃推移

ヘッジファンドや投資銀行の関心事は、新型コロナウイルスの拡大が各国の経済に与える影響と、収束に向かって経済活動が再生していくタイミングを予測することである。そのためのAI分析に有効なデータセットへの需要は急速に高まっている。

具体的には、感染の拡大に伴い、消費者の行動がどのように変化しているのかを携帯電話のGPSから把握できるデータや、中国を起点としたサプライチェーンの稼働状況を確認できるデータ、企業の雇用減少を監視できるデータなどへのニーズがある。

シンガポールが本社の「Kumi Analytics」は、衛星画像の分析を専門とした投資家向けのデータ配信会社で、通常は、石油はジェールガス生産設備の稼働状況を衛星からモニタリングして、ヘッジファンドが原油相場の変動を予測することに役立てている。この技術は、コロナショックで停滞しているサプライチェーン物流の状況を把握することにも応用可能で、感染が拡大している地域の工場、貨物港、鉄道、高速道路などの様子を、人工衛星から24時間体制で監視することができる。

この内容はJNEWS会員レポートの一部です。正式会員の登録をすることで詳細レポートにアクセスすることができます記事一覧 / JNEWSについて

JNEWS会員レポートの主な項目
・高速高頻度取引(HFT)の仕組み
・HFTが引き起こすコロナショック暴落の特徴
・ヘッジファンドが行うAIデータ分析手法
・AI投資分析に使われる代替データの種類と価値
・コロナショック復活を予測するデータ分析動向
・個人投資家が行えるハイテク長期投資の手法
・中国に依存するサプライチェーン破綻の構造と影響度
・高金利ローン市場から生まれるAI融資審査のテクノロジー
・投資家と起業家の利回り比較とスモールビジネスの資産価値

この記事の完全レポート
JNEWS LETTER 2020.3.22
※アクセスには正式登録後のID、PASSWORDが必要です。
※JNEWS会員のPASSWORD確認はこちらへ

この記事に関連したJNEWS会員向けバックナンバー
中国に依存するサプライチェーン破綻の構造と影響度
高金利ローン市場から生まれるAI融資審査のテクノロジー
投資家と起業家の利回り比較とスモールビジネスの資産価値
5割が損をする投資信託販売のカラクリと資産運用の報酬改革
金融市場を席巻するアクティブ投資家の実態と成功確率
マイナス金利から逃避するマネーの行く先と代替投資の開拓
※バックナンバー用ID、PASSWORDを入力してご覧ください。


(儲かる商売の裏側)/(トップページ)/(JNEWSについて)/(Facebookページ)

これは正式会員向けJNEWS LETTER(2020年3月)に掲載された記事の一部です。 JNEWSでは、電子メールを媒体としたニューズレター(JNEWS LETTER)での有料による情報提供をメインの活動としています。 JNEWSが発信する情報を深く知りたい人のために2週間の無料お試し登録を用意していますので下のフォームからお申し込みください。

JNEWS LETTER 2週間無料体験購読

配信先メールアドレス

※Gmail、Yahooメール、スマホアドレスの登録も可
無料体験の登録でJNEWS LETTER正式版のサンプルが届きます。
 
Page top icon