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  国際化にともなって、英会話を習いたいという人が増えている一方で、英会話スクールの経営状況は芳しくない。その理由を探っていくことにより、今後の英会話ビジネスがどう変化していくのかを捉えることができる。
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生徒は増えるのに
なぜ英会話スクールは儲からないのか?
written in 2007/11/8

 授業料の中途解約などでトラブルを抱えて行政処分を受けていた英会話スクールのNOVAが倒産をしたことは、業界全体に大きな衝撃を与えている。同社の全盛期には全国に千店以上の教室を持ち、50万人もの生徒を抱えていたが、これは国内英会話市場の約半分にあたる規模になる。業界最大手の経営破綻は、決して一社だけの失敗ではなくて英会話ビジネスそのものに欠陥があったことを示唆しているのだ。

その一方で、英語学習に対する需要は、幼児から海外旅行好きの高齢者まで増すばかりで、その教育サービスを提供する側の受け皿が不足して困っているような状態である。学校教育の中でも“ゆとり教育”の反省から、「総合教育」の時間を減らして英語の授業時間を増やすことが検討されているが、それに伴う英語教師の数と質が足りない問題は解消されていない。文部科学省の調査によれば、英語教員の中で英検準1級以上の実力者は、中学で4分の1、高校でも半数弱とのこと。しかも意外なことに、小中高の英語教員には、自身の英語力を測るための外部試験(TOEFL(トーフル)やTOEIC(トーイック)など)を定期的に受けなくてはいけないという制度や規則はないようだ。

文科省としては、英語教員の実力レベルはTOEFL 550点以上、TOEIC 730点以上というのを目安にしているが、その実力に到達しているのは、中学の英語教員でわずか24%である。TOEICで700点台というのは、民間企業で海外との折衝を担当するビジネスマンに最低限必要な英語力と言われているため、教員の実力がそれに満たないということは、実戦では通用しない英語しか授業で教えられないことを意味している。そこには本来は“英語のプロ”であるはずの教員に対する英語の再教育ビジネスが成り立つ余地がある。

また一般のビジネスマンにとっても、いまや英語との関わりを避けて通ることはできない。能力主義の会社では TOEICのスコアが人事考課で重要視される項目になっているし、就職や転職の採用試験でも英語資格のランクによる“足切り”をする会社が外資系を中心に増えている。「うちの会社は外資系ではないから大丈夫」とたかをくくっていても、ある日突然に買収されて“外資系”になってしまうこともあるし、自分のすぐ前の上司席に外国人が座ることも珍しくない。そこまでいかなくても、最近では銀行の窓口、家電量販店、自動車や電子部品の製造工場など、ごく普通の職場でも英語力が求められる時代である。

そんな必要に迫られた人達を、NOVAを中心とした英会話スクールは顧客対象とすることで急成長してきたわけだが、そのビジネスモデルが破綻しかけている。顧客(生徒)の獲得には事欠かないほどの売り手市場だが、なぜそのビジネスが破綻してしまうのだろう。その商売のやり方のどこに問題があって、どこを改善すれば新たな英会話ビジネスとして成功できるのだろうか?その答えを解くための鍵を見つけていくことにしよう。
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この記事の核となる項目
 ●TOEIC受験者数に比例する社会人向け英会話市場
 ●TOEIC試験が受験者数を伸ばしているカラクリ
 ●NOVAの経営破綻にみる英会話ビジネスの先天的欠陥
 ●変動する需要に追い付かない英会話スクールの経営体質
 ●社会人向け英会話スクールの採算構造
 ●オンライン英会話スクールの採算性と外国人就労の打開策
 ●教室と人件費に依存しないオンライン英会話スクール
 ●フィリピン人講師を採用するオンライン英会話レッスンの業界動向
 ●バイリンガル人材の発掘〜育成と送り出しビジネス
 ●安価な外国人労働力を調達する日本企業の知恵と抜け道
 ●外国人労働者受け入れ解禁で飛躍が見込める日本語教育市場
 ●国際的な人件費格差を利用した人材ビジネスと教育サービス


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