ウミトロンが開発する「UMITRON CELL」は、海上養殖の給餌作業を自動化できるシステム。イケスで飼育される魚の摂餌状況が機械学習によってスコア化され、自然状況の変化に応じて最適な給餌量をスマートフォンから遠隔管理することができる(JNEWSについてトップページ
養殖作業を自動管理するスマート給餌システム

JNEWS
2019/8/15

 世界の漁業は、年間の収穫高が約2億トンある中で、養殖が占める割合が5割を超してきている。水産資源の枯渇が叫ばれる中、魚を育ててから収穫する養殖は、これからの漁業の主役になっていくことが予測されているが、ハイテク化が遅れている分野でもあるため、新規参入のチャンスも大きい。

シンガポールと日本を拠点としている、ウミトロン株式会社はIoT、衛星リモートセンシング、機械学習などの技術を用いた、持続可能な水産養殖のテクノロジーを開発するスタートアップ企業である。同社が開発した「UMITRON CELL」は、スマートフォン・クラウドシステムを活用したスマート自動給餌機で、養殖業者は遠隔から、海上にある生け簀(いけす)の餌やりを自動化することができる。

従来、養殖の作業工程では、海上に浮かぶイケスまで船で近づき、定期的な餌やりをする必要があったが、UMITRON CELLのシステムでは、生育期間を通した魚の摂餌状況(時系列データ)を観察することで自動化させた給餌スケジュールを作成し、養殖業者はスマートフォンからの遠隔操作で、給餌の実行~管理を行うことができる。給餌中の状況を撮影した動画データからは、機械学習により摂餌状況がスコア化され、自然環境の変化に応じた給餌戦略を立てることができる。

現場の養殖担当者は、それらの摂餌情報を共有することで、給餌調整の判断基準(スコア)を全員でシェアし、今後の給餌計画(量やタイミング)を改善することができる。同じ場所でも、複数あるすべてのイケスで摂餌の状況は異なり、それを担当者が常時監視することは難しいが、自動化されたUMITRON CELLのシステムであれば、リアルタイムでの給餌の最適化ができる。また、船が出せない悪天候でも給餌作業を滞ることなく行えるのも、これまでの養殖作業を革新させるメリットになる。

養殖業にとって、コスト負担が大きいのは、毎日の餌代、給餌作業で使う漁船の燃料代、作業者の人件費だが、スマート給餌機は餌の供給量を最適化して、燃料や人件費にかかるコストも軽減することができる。UMITRON CELLの初期ロットは愛媛県愛南町の養殖現場に納入されているが、ウミトロンでは、他の養殖業者や漁業組合なども、提携先として募集している。養殖分野のテクノロジーは実用化されると、日本国内だけでなく、海外の水産業者にも輸出販売できるため、潜在的な市場規模は大きい。

株式会社ウミトロン

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