トップ
メニュー


ビジネス
ニュース


国内
インターネット
ビジネス
事例集


海外
インターネット
ビジネス
事例集


JNEWSレター

JNEWSレター
運営ノウハウ


プレスリリース

ビジネス
イベント情報


SOHO
在宅ワーク


起業家情報

サイバー
マーケット
リサーチ


更新履歴


gif/Mini.jpg

起業家になるためのノウハウ集


貸し渋り対策・資金調達の手段としての社債の発行を考える


 相変わらずの銀行の貸し渋りと景気状況の悪化のため、中小企業の資金調達は厳しい状況が続いている。日銀が6月10日に発表した「5月の貸し出し・資金吸収動向」によると国内銀行の月内平均貸出残高は前年同月比2.2%減の514兆4600億円と前年比ベースで未だ貸出枠が縮小していることがわかる。

 銀行としても中長期的にみた自行の経営状況については不透明な部分が多いために、不良債権化する可能性がある新規貸出については今後もかなりの制限をかけてくることは安易に予測がつく。中小企業経営者としてはそれを見越した上での資金繰り策を想定しておくことがこれからも重要となりそうだ。

 そんな中で、中小企業でも簡便な資金調達方法として「小型私募債」が注目を集めている。

【社債のメリット】
 企業の資金調達の手段として考えられるのは、銀行からの借り入れ、増資、そして社債の発行があげられる。それらと比較してみよう。

 社債は利率を自由に設定できる。銀行から融資を受けるより低い利率を設定しても、社債購入者が銀行で定期預金をするより高い利回りにできる。たとえ、銀行借り入れと同レベルの利率にしても、担保が不要で、銀行から借り入れの一部を預金として積むことを頼まれたりすること、銀行借り入れなら毎月返済しなければならないが、社債なら決算期末の年1回でよいことを考えれば、実質的な金利は割安になる。

 増資で資金を調達するのと比べても有利だ。株式の配当は税法上、損金として計上できないが、社債の利子なら損金扱いになる。また、経営者やオーナー一族の保有割合を下げずにも済む。決算を告知する義務がないため、取引先などに購入してもらった際、財務内容を知られずに済むという点でも増資より有利だ。社債の購入者にとっても、配当と違って利回りは一定だ。

 会社に資金の余裕ができた時には、随時、償還したり買い入れ償却ができるため、機動的な資金調達も可能だ。

【社債の種類】
 一般に社債といえば、上場企業のような規模の会社でないと発行できないものであると思われがちであるが、決してそんなことはない。社債の種類について簡単に説明しよう。

 社債は、大きく公募債と私募債に分けられる。
公募債というのが普段私たちが認識している社債で、証券会社等を通じて不特定多数のものに発行されるもので、売買も基本的に自由なものである。これに対して、特定のもののみに発行するもので、売買等にも制限があるのが私募債である。中小企業が狙うのは、後者の社債になる。

【中小企業の社債発行のネックとなるもの】
 公募債を発行するのには、膨大な手間がかかるため中小企業の手には負えない。また、私募債の場合であっても、通常は商法の規定により銀行などの管理会社を通すことが求められる。これが小企業にはネックとなる。

 管理会社といっても従来は、法律上、都銀、地銀クラスまでしかこの業務ができなっかたため、信用金庫などでは、扱うことができなかった。また、銀行が社債管理をするに当たっては、金融業界が自主的に決めた適債基準を満たす企業でなければ発行できない。平成5年の商法改正以来、大蔵省が撤廃を求めているものの、現実には、基準に達していない企業が社債を発行するのは難しいと判断される。仮に審査が通っても、発行するのに手数料を取られるため資金的に有利になるとは限らない。

【管理会社を通さないためには】
 商法の規定には抜け道がある。
社債の発行人数が50人未満であり、その社債を分割できないと制限していれば、管理会社を通さなくても社債を発行してもよいことになっている。また、社債権者の中に、銀行や証券会社などの金融のプロがいてはならないことになっている。

 逆に言えばこれらの要件を満たせば、手続きも簡単で、取締役会の決議だけで発行を決められる上、行政への届け出も不要という、まさに中小企業のためにあるような手軽な資金調達方法となる。

 この様な経緯からこの社債は、取引先や従業員、知人などが募集の対象となるため、別名「縁故私募債」とも呼ばれている。取引先や従業員、知人などが資本を出資してもらう増資の形は、新たに株主が増えることになるので後々トラブルを招くことになりかねない。これに比較すると社債方式は、安全な資金調達方法であるといえよう。

【従業員に発行するメリット】
 この縁故私募債を従業員に買い取ってもらう方法はおすすめである。
従来から社員に当座の資金負担なしに報酬を与える方法はないかと質問を受けているが、株式やストックオプションといった形での報酬は、上場しない限り効果が出にくいうえにトラブルになるリスクもある。社債の場合は、この様なリスクを犯さずに資金負担なしに賞与、報酬を支給でき従業員のインセンティブを高めることが可能になる。

【注意点】
 一つ断っておくと、商法の社債の規定そのものが株式会社のためのものであるので、有限会社には適用できないことに注意してほしい。

税理士 天野 直之


Copyright(c)1996- Japan Business News
info@jnews.com