新型コロナ(COVID-19)スタートアップへの投資動向
人類が新型コロナウイルス(COVID-19)に立ち向かうには、有能な人材を集めて新たなテクノロジーの開発に着手することが急務だが、そこに素早く出資をすることは投資家にとっても大きなチャンスになる。
スタンフォード大学の学生や出身者の起業を支援する、スタートアップアクセラレータの「StartX」では、2020年3月の時点で「COVID-19タスクフォース」というプロジェクトを立ち上げて、コロナ危機を乗り越えるための事業アイデアを持つ起業家と投資家を結びつけている。
2011年にスタンフォード大学の非営利組織として設立されたStartXの中からは、コンピュータサイエンス、医療、バイオテクノロジーなどに関連した事業を手掛ける1500人以上の起業家が育っており、彼らが経営する企業の時価総額は190億ドル(約2兆円)を超している。
StartXには、スタンフォード大学からの資金が提供されており、優れた事業プランを承認して資金提供が行われるが、起業者自身も50万ドル以上の資金をエンジェル投資家やベンチャーキャピタルから調達することが条件になっている。StartXが承認した起業家に対しては、スタンフォード出身の大物経営者がメンターとしてサポートすることもあり、事業の継続率は他のスタートアップよりも高いのが特徴である。
StartXは非営利活動のスタンスにより、投資の仲介に対して手数料や成功報酬は徴収していないが、スタンフォード系列の起業家が成功することにより、学生の雇用先を生み出したり、エンジェルやメンターとしての協力者を増やせるメリットがある。
COVID-19タスクフォースのプロジェクトでは、新型コロナウイルスの予防、診断、治療などで画期的な事業プランを持つ、70人以上のスタンフォード出身起業者が選定され、投資家に向けたオンラインデモを実施する形で、双方のマッチングが行われている。
■StartX Med COVID-19 Task Force
また、Airbnb、Instacart, Dropboxなど数多くの成功企業を輩出してきた、「YCombinator」でも、コロナ危機を乗り越えるための事業アイデアを持つ起業家と投資家を結びつける「COVID-19 programs」を、StartXと同時期の2020年3月に立ち上げている。
このプログラムでは、12社以上のベンチャーキャピタルと連携して、新型コロナの検査と診断、治療法とワクチンの開発、医療従事者向けのツール開発、遠隔診療サービス、感染拡大防止などで技術やノウハウを持つスタートアップを審査・承認して、資金調達の支援から、チームの作り方、商品の売り込み方、事業のバイアウトやIPOによる出口戦略までを指導していく。
スタンフォード大の出身者だけを対象としたStartXとは異なり、Y Combinatorはユニークな事業プランを持つ起業者を、世界から広く公募しており、有望なスタートアップに対しては、数パーセントの株式を取得することを条件に、継続的なサポートを行っていく起業家育成モデルになっている。2020年7月の時点では、40社以上のコロナ関連事業が支援されている。
ベンチャーキャピタルを中心としたプロの投資家は、パンデミックの中でもポストコロナ時代の有望投資先を物色する意欲は旺盛で、コロナ関連テーマに絞ってみると、2020年後半に向けての投資環境は急速に改善しはじめている。そのため、業績がダメージを受けている新興企業は、新時代に適応した事業モデルに転換することが生き残りの鍵となっており、これは「COVID-19ピボット(コロナによる事業転換)」と呼ばれている。
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