定年制度廃止の時代に求められるアンコールキャリア

JNEWS会員配信日 2017/6/14

 バブル崩壊以降は長らく1倍を下回っていた有効求人倍率が、2017年に入ってからは 1.4倍を超してきてきた。労働市場では“人手不足”が騒がれ始めると、多くの企業が競うように人材募集をかけるため、求人倍率はさらに上昇していく性質がある。

少子化により若手の労働者がこれから恒常的に不足していくことは間違いなく、企業は、代替となる労働力を確保する必要性に迫られている。そこで考えられている選択肢には、大きく3つがある。

1つは、AIやロボットなどが人間の替わりをすることで、小売業や飲食業ではアルバイト店員に代わるセルフサービス型の店舗が増えていくことが予測される。
ただし、ロボットに任せられる仕事の範囲は意外と狭くて、人手不足のすべてを解消できるわけではない。

2つ目は、女性の労働力を今よりも有効に活用することだ。しかし現実には、女性が仕事でキャリアを高めることと、家事・育児との両立はかなり難しい。労働政策研究・研修機構が行った「男女正社員のキャリアと両立支援に関する調査」によると、女性の管理職は、男性と比べて「未婚」または「有配偶・子なし」割合が高く、有配偶で子どものいる女性管理職は約3割しかいない(男性は7~8割)。

■男女正社員のキャリアと両立支援に関する調査結果
  http://www.jil.go.jp/institute/research/2014/119.html

そこで、3番目に浮上するのが、定年退職をしたシニア層を再活用することである。日本では「60歳」を定年としている会社が8割以上を占めるが、希望者に対しては、再雇用をして65歳まで働ける制度を社内に設けることが、法律によって2013年から義務化された。そのため統計上は、定年者の4分の3が継続雇用されている。

ただし、実際の職場では、55歳を過ぎた頃から管理職のポジションを外れる“役職定年”が始まり、60歳以降は1年単位の契約となり、給与水準も5~7割に減額されてしまうケースが多い。自営業者の実質的な引退年齢が70代となっているのに対して、サラリーマンとして満足度の高い仕事ができる期間は、それよりも10年以上短いのが実態である。

日本の人口推計では、いまの40代が60代になる頃に、60歳以上の人口が4割を超えるため、若い世代だけで経済全体を支えることは難しくなる。その時までには定年制度も無くなり、生涯にわたり現役として働く、アンリタイアメントの時代が訪れるとみられている。

しかし、高齢になっても満員電車で通勤をして、ストレスを抱えながら深夜まで働くことが幸せとは言えない。日本の企業は、60代以降の人材を有効に活用できる基盤やノウハウを、まだ持ち合わせていないが、海外では、専門性の高い知識やスキルを持つ高齢者を、好条件で迎え入れることが「アンコールキャリア」として注目されている。

理想的なアンコールキャリアを実現するために、40代、50代からの準備をして、条件さえ整えば、早期リタイアをする人が欧米では増えている。「リタイア」とは完全に働くことを辞めてしまうのではなく、自分に適したワークスタイルで、好きな仕事に打ち込める環境を築くことを意味している。それがどんな方法で行われているのかを探り、高齢化する労働市場の新ビジネス動向をみていきたい。 (この内容はJNEWS会員レポートの一部です。正式会員の登録をすることで詳細レポートにアクセスすることができます記事一覧 / JNEWSについて

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・シニアの経験を活用したフェローシップとシニア起業

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