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  アルゼンチンは2001年にデフォルトを起こした後、自国通貨の信用が著しく低下して、国内のビジネスでも「ドル」による取引が主流になっている。しかし、欧州危機による世界的なドル不足により、新たな混乱が起きている。アルゼンチンの動向から、お金の価値とは何なのかを検証。
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一夜にして「お金の価値」が崩落する
通貨の特性と金融政策
written in 2012/6/30

 2008年のリーマンショック以降、世界の金融市場は混乱を続けて、当時は1ドル=110円台だった為替相場も、70円台にまで円高が進んでいる。ドルの価値は3割以上も下落したことになり、ドルを稼いでいる日本の輸出企業には厳しいが、反面、日本の消費者は「物価が下がる」という恩恵を授かっている。

しかし、円高ドル安により、米国の輸入品が安くなるはわかるが、それ以外の物価も下がるのはなぜか?これは、米国に限らず、ほとんどの貿易取引が「ドル決済」によって行われているためだ。日本にとって、取扱高が大きなアジア諸国との貿易についても、現地の通貨ではなく「ドル」で取引をすることが商慣習になっている。下表が示すように、アジア→日本への貿易については、98%が、ドルか円によるものだ。

《日本と海外との貿易決済通貨比率》

  

ドルは、世界の商取引における実質的な基軸通貨となっているわけだが、その役割は、欧州危機の混乱を受けてさらに強まっている。ユーロ通貨の信用が失墜する中、ドルで取引をしたいというニーズが世界で高まっており、ドルが不足する状況が続いている。日本にいるとピンと来ないが、世界からみると今は「ドル高」の状態にある。

その影響が最も深刻なのが、テレビや新聞ではあまり報道されることの無い、アルゼンチンの動向だ。アルゼンチンは、10年前の2001年に、財政破綻による国債のデフォルト(債務不履行)を起こして、自国通貨「アルゼンチンペソ」が紙くず同然になる大暴落を経験した。

それ以降、アルゼンチンペソの信用は失墜して、国内でも、重要な取引の大半はドル建てで行われていた。しかし、欧州危機の影響により、アルゼンチン国内のドル保有高は不足して、2011年10月からアルゼンチン政府は、ペソから外貨(ドル)への両替規制をかけている。そのため、アルゼンチンへ投資や進出をしていた外国企業は、資金を回収できなくなっており、国際的な決済機能も麻痺している。

「国がデフォルトを起こすとどうなるか」ということは、いま危機に直面している欧州でも、正確には予測できないものの、アルゼンチンがデフォルトを起こしてからの10年間、そして現在の様子は、先行事例として参考になるものだ。そこでポイントとなるのは「お金の役割」であり、今回のレポートでは、いま世界に迫っている通貨危機がどんなものなのかを、身近な視点から解説していみたい。

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この記事の核となる項目
 ●通貨政策に翻弄されるアルゼンチン経済
 ●金融危機よるドル流出の身近な影響とは…
 ●ドル規制に対する富裕層の動きについて
 ●アルゼンチン通貨政策とアジア通貨の共通項
 ●国家がデフォルトするとどうなるか?
 ●自国通貨を使わない物々交換サービスの浮上
 ●アジア通貨危機の再来に備えた対策
 ●欧州バブル崩壊はなぜ起こったか?政策に翻弄される地域経済
 ●第三国を経由した新興国ビジネスのやり方と決済通貨の選定
 ●円高ユーロ安を好機と捉えた欧州ビジネスの狙い方と有望国


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 ●イザという時に使えない銀行預金と電子社会の口座封鎖
 ●交換することで目減りする「お金」の価値と両替ビジネス