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  「クラウドワーカー」とは、オンラインで営利または非営利のプロジェクトに参加して、労力を提供する人達のことを指す。地理と時間を超えた働き方ができるため、有意義なプロジェクトには国境を越えて世界からの参加者があり、労働の形態を変え始めている。
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クラウドワーカーが変えていく
労働市場と社会事業の方向性
written in 2010/6/18

 クラウドソーシングが従来のボランティア活動と異なるのは、ネットを駆使することで大勢の仲間を集めることができ、そのプロジェクトが短時間で急成長していくところである。有名な例として、誰でも数回は利用したことがある、オンライン百科事典プロジェクト「ウィキペディア(Wikipedia)」は、2001年に英語版からスタートしたものが、現在では 200ヶ国以上に活動が広がり、15万人以上のボランティア執筆者によって1500万件以上の記事が作成されている。

これらの執筆者に専門家と素人の区別なく、誰でも参加することができるため、記事の信頼性を疑う声もあるが、間違った原稿は他のユーザーに削除、再執筆されることで、ウィキペディア全体としてのグレードは日々進化している。

大量の編集作業が伴う仕事では、クラウドソーシングの威力を発揮しやすく、協力者の労力を人件費に換算すると莫大な価値になる。その力が期待されているのが、古い紙書籍を電子書籍へと変換する作業だ。

各国の公立図書館では、歴史的にも資料価値の高い書籍や文献を大量に保有しているが、紙の寿命は 約100年と言われている。これらを電子書籍としてデジタル化して、自由に閲覧や検索できるようにすることが、次世代への課題と言えるが、それを実現するには多額の資金(税金)を投下しなくてはいけない。

そこで、一般の市民にクラウドソーシングをして、善意の力によって電子化を進めようとする動きがある。その先行例として、オーストラリア国立図書館では、1800年〜1950年にかけて国内で発行された古新聞の電子化が進められており、最初に、業者が紙面をスキャニングしてOCR(文字読取り装置)にかけた後、文章が誤認識されている箇所を発見して修正する作業を、ネットから応募された数千人もの市民ボランティアが担当している。


このプロジェクトは2008年からスタートして、現在までに 100万ページ以上の電子化が進んでいる。こうして制作された電子コンテンツは、同図書館のサイトから閲覧、検索できるようになっていく。


《図書館の蔵書を電子化する流れ》

  

 クラウドソーシングにより民衆の力を借りるには、彼らに自発的な行動を起こさせる動機付けが必要だ。非営利団体や公的団体の場合には、その活動が世の中のため、社会貢献に繋がることを説明することで、無償の労働力を呼び集めることが可能だが、営利の企業ではそれが難しい。

そこで企業のクラウドソーシングでは、各種の賞金付きコンテストを開催して民衆の知恵を集める方法がある。システム開発のクラウドソーシングの例としては、「アルゴリズムコンテスト」と呼ばれる、プログラムの計算式を不特定多数のプログラマーに競わせることが流行している。
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この記事の核となる項目
 ●共同作業で実現するクラウド社会の輪郭
 ●善意の労働力が生み出す電子コンテンツの価値
 ●公立図書館の蔵書を電子化するクラウドプロジェクト
 ●企業が民衆に競わせるクラウド・コンテスト
 ●クラウド型システム開発会社のビジネスモデル
 ●夢の仲間を呼び集めるクラウドソーシング
 ●旅行会社がツアーの集客をクラウドソーシングする仕組み
 ●クラウドワーカーを活用した芝刈りビジネス
 ●クラウドの英知で広告成果を最高にするネット広告会社
 ●企業よりも先を行くNPOのWebサービスによるワーク革命


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