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  欧米では非営利団体(NPO)が、大企業並に成長して事業拡大しているケースが出始めているが、これはNPOの会計システムとも関係している。NPOが事業で生み出した収益は、新たな人材雇用へと向かっている。
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寄付マネーよって生まれる
新たなソーシャル社会と労働市場
written in 2009/12/24

 欧米では昨今の社会貢献ブームもあって、寄付市場が急速に拡大しており、米国で 約120万団体あるNPOに対して、年間に寄付として集まる資金の総額は20兆円を超える規模になっている。日本の広告市場(テレビ、新聞、ネットすべてを含む)が全体で約7兆円であることと比較しても、世界の寄付マネーはビジネスの根幹を変えるほどの影響力を持ち始めている。

それほど寄付マネーが拡大している背景には、各国の政府が寄付社会を推し進めていることがある。英国の政府などは、「どうせ国に税金を取られるなら、NPOに寄付をしましょう!」というキャンペーンをしているほどだ。

これは、高齢化や経済縮小により税収が落ち込み、国が財源を確保することが難しくなっていることから、公益事業の中で民間に任せられることは任せてしまおうとする発想によるもの。国が税金を徴収した後に、その資金を公益事業に振り分けるのではなくて、個人や企業が社会事業を手掛ける民間の団体(NPO)に対して直接的に資金提供(寄付)できるようにすれば、それだけ国は身軽になれるし、役所の仕事も減らすことができる。

寄付マネーを誘発させる国の施策としては、ベーシックな所得控除制度の他に、自分が希望する団体に対して給料天引きで毎月の寄付ができる制度「ペイロール・ギビング(Payroll Giving)」、遺産による寄付をしやすくできる制度、株式による寄付ができる制度などを導入している。

《従来の社会貢献ビジネスモデル》

  従来の社会貢献ビジネスモデル

《新型の社会貢献ビジネスモデル》

  新型の社会貢献ビジネスモデル

 上図でいえば、日本の社会貢献ビジネスは典型的な“従来型”で、税金を資金源とした公益法人が牛耳っているという構図。つまり、日本で寄付文化が浸透しないのは、役人が公益事業の利権を手放したくないという事情と深く関係しているのだ。

しかし日本でも寄付文化が広がると、NPOの活動が活発になることから飛躍して、新たな雇用の受け皿を生み出すことができる。「NPO=非営利事業」という原則は、まだ日本で誤解されていることが多いが、これは社会事業でたくさん稼ぐことがNGなわけでなく、事業の収支が「収入≒支出」という状況に保たれていること(利益を残さない経営)を示している。

そのため、NPOの手掛ける事業が上手くいって、多額の収入を得てしまった場合には、来年度に利益を残さない策として、サービス料金や会費の金額を下げるか、事業を拡大して支出を増やすことが求められる。実際に儲かっているNPOでは後者の策として、有給社員の新規雇用数を増やして、次々と事業分野を広げているケースが多い。
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■この記事の核となる項目
 ●心の満足度を与える第5次ビジネスの特徴
 ●現代人が心を満たす欲求願望とは
 ●感動ビジネスにおける寄付と特典の交換取引
 ●欧米政府が誘発させる寄付マネーの力
 ●新しい社会貢献ビジネスモデルの収益構造
 ●寄付市場の拡大が人を幸せにする法則
 ●寄付文化の普及で失業者問題が解消するシナリオ
 ●企業よりも魅力的なNPOの収益構造と“非営利”の誤解
 ●企業の商売敵として浮上する“無欲な労働力”のインパクト
 ●最大の退職者団体AARPに学ぶ団体運営ビジネスの急所

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 ●寄付金集めのプロとして活躍するファンドレイザーの役割
 ●イスラム商法に学ぶ営利ビジネスの健全化と懺悔の方法
 ●企業よりも魅力的なNPOの収益構造と"非営利"の誤解
 ●企業がNPOと手を組む社会貢献マーケティングによる販売戦略
 ●みんなの共同作業で解明する市民科学とクラウド社会の輪郭