起業家のための成功法則
  
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  日本の法律では夜10時〜朝5時までの労働に対して25%以上の割増賃金を払わなくてはいけないことになっている。しかし消費者の立場では深夜〜早朝にかけての店舗営業を望む声が大きいことから、そこに残業代行を専門とした人材サービスの商機がある。
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企業が抱えるサービス残業問題と
深夜労働にかかるコスト
written in 2007/4/26

 最近よく聞かれるようになったのがサラリーマンの残業についての会社とのトラブルである。夜遅くまで会社に残って自分の仕事をかたづける、いわゆる「サービス残業」は特に珍しいことではないが、労使の関係がこじれると「適正な残業手当を支払ってもらっていない」と会社側に社員がクレームを付けるトラブルが頻発している。これを労働基準監督署に持ち込めば会社側が不利な立場に追いやられるが、現実問題としてサービス残業がまったく無い会社というのは、おそらく存在しないのではないだろうか。

残業に対する報酬(残業手当)の議論では、従業員と経営者では当然ながら言い分が異なる。従業員は「働いた時間分だけはしっかりと残業手当を付けてほしい」と訴えるが、経営者(会社側)は「もっと効率的に仕事をすれば定時の労働時間で十分に終えられるはず」という言い分だ。どちらの主張が正しいのかという判定はケースバイケースで単純に白黒をつけることは難しいのだが、サービス残業の話がこじれても「では(会社側が)今後はキッチリと残業代を払うことにします」という結末に落ち着くことは少ない。その根底には、こんな考え方があるためだ。

上司から同じ成果目標を課せられた二人の社員(AさんとBさん)がいるとしよう。Aさんは要領よく仕事をするのが得意なため1日8時間の定時労働で目標を達成することができる。一方のBさんは仕事の効率が悪く、毎晩夜遅くまでかかってようやく目標を達成することができる。ではどちらの社員のほうが高い評価(高い報酬)を与えられるべきだろうか?経営者の視点からみれば、間違いなくAさんのほうに高い報酬を与えるべきだと考える。しかし労働時間(定時+残業時間)から算定するとBさんへの報酬のほうが高くなってしまう。それなら、Aさんもわざと仕事を遅らせて残業代を稼ごうとするかもしれない。これは作業の効率化を追求したい企業にとっては大きな矛盾だ。つまり社員に対する報酬額(給与額)の決め方において「労働時間数」という物差しでは、現代のビジネス環境と釣り合いが取りにくくなっている。

昔の会社なら、成績不振の社員に対して「人の二倍、三倍努力して働け!」と叱咤激励したものだが、いまでは「限られた時間内で高い成果を上げろ!」という高度な目標設定に変化している。会社が社員の時間外労働をできるだけ削減しようとしている背景には、うつ病や自殺者の増加で労務管理上の規則が厳しくなってきたことや、顧客情報の漏洩対策などがあるが、じつはそれ以上に人件費の問題が大きい。会社が社員に対して合法的に時間外労働をさせると、非常に高いコストがかかってしまうのだ。

その反面、企業が消費者に対して提供するサービス時間帯は次第に長くなる傾向にあり、土日や深夜でも営業することが求められるようになっている。また金融やIT、情報分野の企業では24時間対応で業務を進めていかないと、マーケットの成長や変化に併走していくことができない。そこで社員に残業をさせる代わりに、深夜や休日の仕事を専門に請け負うビジネスが急成長している。普通のサラリーマンが寝ている時間帯に働くのは、主に自営業者やフリーランスだが、そこには企業が残業問題を解消できる抜け道が存在している。
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この記事の核となる項目
 ●社員が時間外に働くとどれだけコストがかかるのか?
 ●時間外労働における割増賃金についてのルールについて
 ●業務体系の多様化と労働基準法のギャップ問題
 ●深夜営業サービスに対応した交代制勤務の実態
 ●ホワイトカラーエグゼンプションが残業対策になるか?
 ●24時間営業で求められる交代勤務と人件費のバランス
 ●タクシードライバーの長時間労働を合法化するトリック
 ●自営業者は人が寝ている時に働け!残業代行における商機
 ●夜間の業務を請け負う残業代行ビジネス
 ●通信回線を介した国際間の残業代行ビジネス
 ●残業対策としてのフリーランス活用策
 ●在宅翻訳者による深夜のニュース番組制作現場
 ●自由を望むスペシャリスト達の就労形態と労働環境の地殻変動


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