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世界の年金基金団体が株価を動かすESG投資の特性

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JNEWS会員配信日 2021/9/24

 上場企業の中では、環境(E)、貧困や差別などの社会問題(S)、健全な経営を目指すガバナンス(G)についての取り組みを報告するESGレポートを開示する動きが加速している。その背後には、大株主の機関投資家の中でも、最も資金力が大きな年金基金団体の存在がある。

年金基金は、国民や従業員の老後資金を預かり、株式市場などで運用しているため、会社の利益面だけを見るのではなく、E、S、Gへの取り組みを重視する投資姿勢が求められるようになっている。投資判断にE、S、Gの項目を組み込むことは「責任投資原則」(PRI、Principles for Responsible Investment)として国連が2006年から提唱しており、世界で2400近い年金基金や投資会社がPRIポリシーに署名をしている。

世界の年金運用資金の総額は20兆ドル以上(約2200兆円)と言われているが、世界最大の年金基金団体は、日本の国民年金と厚生年金の積立金を管理する「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」で、約170兆円の資金を運用している。

GPIFは資金のおよそ5割を株式で運用し、日本株式を約2200銘柄、外国株式を約2500銘柄を保有している。さらに、GPIFと同様のESG投資スタンスは、国内にある他の年金基金団体も踏襲しはじめていることから、日本の上場企業がE、S、Gの責務を果たすことは、株価を維持していくためにも重要な課題になっているのだ。

GPIFのESG投資についての取り組み

《世界の年金基金資産ランキング(2020年)》

世界トップ20の年金基金の資産総額(ウイリス・タワーズワトソン)

ブルームバーグの分析によると、2025年に想定される世界の資産運用残高140.5兆ドルのうち、ESG投資による運用は3分の1以上を占める53兆ドルになると予測している。ESGをテーマにした資金の運用先は、関連企業の株式、ESG指数連動型の投資信託、グリーンボンド(環境債)やソーシャルボンド(社会貢献債)のようなESG債券などがある。

年金基金を中心とした機関投資家がESG投資を積極的に行えば、関連銘柄の株価は上昇していくため、個人投資家も追随して、ESG市場全体への資金流入量が増えていく。ESG投資の動向を地域別にみると、2020年の時点では欧州が12兆ドル、米国が17兆ドルに対して、日本は2.8兆ドルと少なく、世界のESG投資市場に対して8%のシェアしかない。しかし、日本の経済力と投資マネーの規模からすると、少なくとも30%超までには、環境保全や社会貢献型の投資が増えていく可能性がある。

《世界のESG投資額(2020年》

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