人間が生活していく上で不可欠な、農業を中心としたローカル経済を投資の力によって支えていこうとする「スローマネー」の価値観が注目されている。富裕層が持つ資産の1%がスローマネーとして投資されると、農業生産者の活動を支えていくことができる。(JNEWSについてトップページ
豊かな人生を過ごすスローマネーの価値観と投資手法

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JNEWS会員配信日 2020/9/19

 もしも「お金」に色が付けられるとすれば、金融市場で日々変動していく投機的なマネーと、人生を豊かに暮らしていくためのお金の色は異なっているのかしれない。そうした考えから、投資の成功者がローカルな生活に回帰する傾向がみられるのも近年の傾向で、新型コロナの流行以降、富裕層の地方移住が増えているのも、その流れとリンクする。

彼らの中で浮上しているのが「スローマネー」の価値観である。スローマネーの起源は、ベンチャーキャピタリストでありエンジェル投資家としても成功したWoody Tasch氏が2008年に立ち上げた団体「Slow Money」と言われ、人間が生活していく上で不可欠な、農業を中心としたローカル経済を投資の力によって支える枠組みを作ろうとしている。

Slow Money

Slow Moneyが目指すのは、将来的に100万人が自分の資産額の1%をローカル経済に出資することで、農業生産者の経営を支えつつ、自分達の食生活も豊かになる地域社会を形成することだ。

たとえば、地域の農場に小口の出資をすることで、野菜や果物などの収穫物を分配してもらえる「CSA農業(community shared agriculture)」のメンバーになることは、スーパーで買い物をするよりも、安価で新鮮、安全な食料を調達できるため、賢いスローマネー投資になる。

《CSAによる農業生産者への出資モデル》

さらに、農業への投資を金銭的なリターンで得られる仕組みも考案されている。
2014年に米ロードアイランド州で設立された「Local Farms Fund(LFF)」は、農地専門の投資ファンドを運営している会社で、出資者から募った資金で農地を取得した後、農業起業者に対してリースしている。リース期間は20年で、期間の満了後は、「土地の購入」または「5年の再リース」を選択することができる。

LFFでは、農地の賃貸収入から出資者に対して年率3%の配当を出しており、農地が購入された時点で、出資元金も返還される契約にしている。LFFから農地をリースするのは、大半がCSA農業の起業者であるため、出資者が作物の分配を受けられる特典を付けることも可能になる。

Local Farms Fund(LFF)

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