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マイ水筒ユーザーを
カフェの優良客に取り込む循環ビジネス
written in 2009/8/17

 マイ水筒の流行は、レストランやカフェにとって“好ましい”とは言い難いが昨今の風潮からすると水筒ユーザーを拒絶するわけにはいかない。そこで彼らの水筒に給茶のサービスをする店も登場しているが、その料金は 500mlで200〜300円とペットボトルよりも割高な設定になっている。もちろん自販機では買えない、こだわりのお茶やコーヒーを提供しているのだから、という言い分も理解できるものの、マイ水筒の中身としてユーザーがそこまで高級な飲み物を求めているのかという点は疑問だろう。

それなら水筒への給茶くらいは気前よく無料で行ない、来店客をたくさん集めたほうが賢いという考え方もある。マイ水筒ユーザーといっても、昼時には食事をするし、店内で図々しく水筒の中身を飲むような人は少ない。あくまで水筒は仕事場や外出時に喉を潤す、水分補給用として持ち歩いているのだ。そこでランチのついでに、水筒に無料で給水や給茶をしてくれる店があれば毎日のように利用するかもしれない。

その取り組みとして、米ニューヨーク市内では、マイ水筒の持参者に対して給水をしてくれる飲食店やカフェをネットワーク化する「TapItWater」という活動が展開されている。登録先の店頭では、給水ポイントであることを示すステッカーが貼られている他、TapItWaterのサイトからも該当店舗を検索することができる。またiPhoneユーザー向けには専用アプリが配布されているため、外出時に水筒が空になった時には、給水可能な最寄りの店舗まで GPS機能で辿り着くこともできる。

各店舗で提供される水は特に高価なものではなく、水道水や浄水器でろ過された水で、無料のサービスとして実施されている。飲食店にとって給水サービスは自らの利益を相反するのではないか?という先入観は既に古い考え方であり、飲食店も積極的に無償のエコーサービスを導入することにより、新規客が二度、三度と来店するようになる循環ビジネスの仕掛けを作ることが大切なのだ。

《マイ水筒ユーザーを来店させる流れ》

  

「TapItWater」の活動は非営利で行なわれているものだが、その背景にはマイ水筒ユーザーの支援という直接的な目的の他に、水の民営化ビジネスが拡大することへ警鐘を鳴らすという深いテーマがある。世界では、やがて水危機が起こることが予測され、水源の獲得についての利権争いが激しくなっている。日本でも飲料水として市販の水を購入することが当たり前になってきたが、水の営利ビジネスが進むと、飲める水の量や質にも貧富の差が生じるし、飲食店でも料理で水を自由に使えなくなってしまう懸念もある。そこで「水を公共の資源として守ろう」とする意図を、水筒ユーザーへの給水サービスに込めているのだ。
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この記事の核となる項目
 ●マイ水筒ユーザーを優良顧客にする方法
 ●マイ水筒ユーザーに向けた給水サービスの狙い
 ●量り売りへと回帰する小売業のビジネス
 ●ボトルオーナーから樽オーナーへの飛躍
 ●樽オーナーになるための共同購入グループ
 ●ゴミが無くなる循環社会に向けたゴミ箱の役割
 ●ハイテクゴミ箱とエコポイントを連動させた循環ビジネス
 ●水危機の到来に向けた「水を売るビジネス」の布石と死角
 ●トイレのある場所に客が集まる人間行動学とトイレビジネス
 ●ゴミを捨てると報酬がもらえるハイテクゴミ箱の開発市場
 ●ロハスに向けて流行る量り売り商法にみる小売店の新たな役割
 ●テイクアウト業界がマイカップサービスを始める本当の理由


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JNEWS LETTER 2009.8.17
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