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過去の失敗例に学ぶ
省エネビジネスの問題点とエスコ事業
written in 2008/10/4

 日本の平均的な家庭が1ヶ月に使う生活費はおよそ29万円だが、この金額は5年前よりもジリジリと下落している。景気の低迷で世帯の収入(給料)が増える見込みがなければ、生活費を切りつめるしかないが、もともと贅沢をしているわけではなく、食費や洋服代の他に、自動車、携帯電話、インターネットなども現代の生活では欠かせないため、それらの費用をやり繰りして月に5千円の節約をすることにも知恵がいる。

《勤労世帯の年間収入と生活費の推移》

具体的な節約の方法としては、ガソリンはできるだけ安いスタンドで給油、携帯電話の料金プランを変更、エアコンの温度設定を高めにしたり、水道やトイレの使い方を気にすることでも、水道光熱費を若干下げることができる。幸いにして時代はエコブームのため、節約生活に対して昔ほど卑屈になる必要はなく、自分が考案した節約法を本として出版してベストセラー化しているカリスマ主婦もいる。生活用品メーカーが主婦のアイデアで開発した節約グッズを販売したところヒット商品になったという例もある。

そこで「節約」をテーマにしたビジネスを考えてみることは有意義だが、魅力的なターゲットとして捉えておきたいのは、一般の家庭よりも企業のほうである。国内には約 150万の企業が存在していて、各社が展開している複数の店舗や営業所を合わせると約 600万もの事業所がある。それぞれが営業活動をして売上を得ているが、その中の85%以上は商品の原材料、人件費の他にも様々な経費として使われているのだ。一つ一つの項目は些細でも、規模が大きなビジネスになれば経費の支払いは何百万、何千万、何億円という桁になる。

たとえば、電飾付きの看板や明るい店内照明を惜しみなく使う大型量販店では、1店舗あたりの電気代だけで年間1千万円を超えているし、24時間営業のコンビニ店舗でも毎月25〜30万円の電気代を払っている。そのためコンビニ経営者にとっては、電気代が3%値上げされると月に約1万円の経費増になるが、それを売上からの利益で補うには、来店客を100人近く増やさないといけない。

しかし現実の話は逆で、物価が高騰すれば来店客数も減少する傾向にあるため経営者にはダブルに痛手になる。それなら、客足が少ない深夜の時間帯を閉店して電気代を抑えようという案も浮かぶが、店内の冷蔵設備は閉店時も止めるわけにはいかないため、期待するほどの電気代削減にはならないようだ。

このようにしてみると電気代に限らず、会社や店舗が日常的に垂れ流している“経費の無駄遣い”を防いだり、節約することは意外と難しくて、それを解決するには専門的なノウハウは技術が必要になる。そこに着目した省エネベンチャーは過去にもたくさん登場してきたが、その大半は経営が上手くいかずに消えている。その理由がどこにあるのかを探り、エコ全盛の時代に成り立つ省エネビジネスの成功法則について考えてみよう。

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この記事の核となる項目
 ●事業所に向けた電気の共同購入ビジネス
 ●電気の新たな購入スタイル(事業所の場合)
 ●過去の失敗例に学ぶ省エネビジネスの問題点とエスコ事業
 ●儲け所が難しい“省エネ”のビジネスモデル
 ●過去の省エネビジネスから学ぶ失敗の教訓
 ●長期のリスクを取らずに短期で稼ぐ省エネビジネスモデル
 ●住宅購入者向けに省エネ検査を行うビジネス
 ●米国省エネ検査ビジネスの業界構造
 ●企業の水道光熱費を管理代行するビジネス
 ●消費者の購買力をバックに力を増す共同購入グループの復権


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JNEWS LETTER 2008.10.4
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