欧州では、メーカーがユーザーと外部の修理業者に対して「修理する権利」を認めて、交換部品の供給を行うことや、修理がしやすい製品設計にすることを義務付ける法令が強化されている。それに伴い、中古スマートフォンの再販市場が盛り上がっている(JNEWSについてトップページ
リペア法で成長する中古スマートフォンの再販市場

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JNEWS会員配信日 2024/1/27

 転売目的で利益が稼げる商材をリサイクルショップで物色しても、最近ではネットの中古相場に沿った価格設定がされているため、掘り出し物を探すことは難しくなっている。しかし、一部の機能が正常に動作しないため「ジャンク品」とされているものは、タダ同然で入手することができる。

ジャンク品は、そのままでは再販価値は無いに等しいが、DIYで直すことができれば、商品としての価値が蘇る。リサイクルショップが壊れた製品を修理して再販することは、コストの面から採算が合わないが、個人がDIY修理のスキルを習得することは、趣味を兼ねた副業として有益なものになる。

20年以上前から米カリフォルニア州を拠点に運営されている「iFixit」というサイトには、PC、カメラ、ゲーム機、家電製品、スマートフォン、タブレットなど5万機種以上の修理マニュアルが投稿されており、交換部品も購入することができる。修理でわからないことがあれば、全カテゴリーで250万人が登録しているコミュニティで相談をしたり、修理作業の代行を依頼することも可能だ。

iFixit

《iFixitの修理マニュアル例》

  • デスクトップPC、ノートPC
  • 任天堂ゲーム機(Switch、過去のモデル)
  • プレイステーション(初代~PlayStation 5)
  • スマートフォン(iPhone、Android各種)
  • タブレット(iPad、Android各種)
  • カメラ(Canon、Nikonなど各種)
  • 電動工具

iFixitの創業時は、発売されたばかりのiPhoneを分解して構造を解析した動画を公開することで話題を集めたが、Apple社は製品を分解するユーザーが増えることには否定的であり、わざとDIY修理がしにくい構造にして、交換部品の提供も行っていなかった。しかし、持続可能性が重視される時代へと変わり、ユーザー自身が修理できる権利を認めて、交換部品の提供も行うことがメーカー側の義務とした法制化する動きが進んでいる。

2023年3月に欧州議会で採択された「製品の修理を推進するための共通ルールに関する指令案」では、メーカーが販売した製品に不具合が発生した場合、保証期間の有無に拘わらず、ユーザーに修理サービスの選択肢を提供することが義務付けられる。具体的には、DIYで修理をするためのマニュアルや部品の提供、出張または宅配回収による修理サービスを実施することなどが必要になる。また、外部の修理業者に対しても、メーカーは交換部品の提供を拒んではいけない。

Proposal for a Directive on common rules promoting the repair of goods

従来のメーカーは、数年サイクルのモデルチェンジを行うことにより、消費者に新機種への買い換えを促してきたが、 サステナビリティ社会では、同じ製品を長く使い続けることが推奨されるため、新製品の販売から修理対応までを含めたビジネスモデルの転換が不可欠になる。ユーザーからの修理依頼は、メーカーだけでは対応できないため、全国に協力業者のネットワークを築く必要があり、中小業者にもビジネスチャンスが生まれている。

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JNEWS会員レポートの主な項目
・修理性能のスコア化が義務化される欧州動向
・整備済みスマートフォンの再販ビジネス
・市民運動から広がるリペアカフェの運営モデル
・メーカーとリペアカフェの連携モデル
・社内リペアカフェによる修理人材育成
・廃棄プラスチックを再生する起業の方法
・国内修理ビジネス業界の問題と構造変革
・ハンディマン派遣のマーケットプレイス開発
・廃棄禁止法で変革されるアパレル業界のビジネスモデル
・古着の再販価値を高めるヴィンテージ再生製品の作り方
・eコマースと連携する自動車整備工場の新ビジネスモデル

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JNEWS LETTER 2024.1.27
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