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古着転売が奨励される欧州アパレル業界の事業転換

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JNEWS会員配信日 2023/12/21

 環境問題に関する規制は厳しくなる一方だが、欧州委員会(EU)では、アパレルメーカーや小売店が売れ残った服を廃棄することを禁止する協定が加盟国の間で、2023年12月に合意された。大手のアパレルブランドに対しては、2年後からの廃棄禁止が義務付けられるようになる。これは、ファストファッションの無駄な大量販売を取り締まることが目的である。

欧州でも、捨てられる服の9割以上は家庭から放出されているため、それを解決するために、古着の再販価値を高めるビジネスが推奨されている。しかし、業者が個人から古着を買い取る方式では、買取価格が安すぎるため、廃棄量削減の有効策とはならないのが実態である。

そこで、消費者に対して「不要になった服にも価値がある」ことを示し、古着をできるだけ高く売却できる仕組みを作ることが重要視され、個人間取引(P2P型)のリセールビジネスが推奨されている。古着を個人間売買する副業を流行らせることも、欧州のサーキュラーエコノミー政策として意識されているのだ。

英国ロンドンを拠点に運営される「Depop(ディポップ)」は、英国では650万人、世界全体では3000万人以上に利用されるファッション専門のフリマサイトで、ユーザーの9割は10~20代で占められている。同サイトには、不要になった服やアクセサリーを自由に出品することができ、買い手が付けば、欧州全域と北米を含めた海外発送と PayPal、クレジットカードによる国際決済までを簡単に行うことができる。Depopには1日平均で14万件以上の出品がある。

Depopが、eBayやメルカリと異なるのは、ファッションSNSとしても機能しているため、ユーザーはファッションセンスの合う出品者に「いいね」や、フォローすることができる。Instagram上の投稿とも連携して、数万人規模のフォロアーを持つインフルエンサーになれば、10代の若者でも月間2000ポンド(約36万円)以上を稼ぐことができようになっている。彼らの中では、古着が「経済価値のあるもの」という意識が生まれているため、自分が着なくなった服に加えて、家族や祖父母のワードローブ、地域のフリーマーケットを巡回することで、古着を集めて販売することが流行っている。

《DepopとInstagramによる古着リセール》

Depopの創業は2011年、現在は3000万人以上の会員登録(アクティブユーザーは約1割)があるが、年間5億5000万ドル(約770億円)を超す売上がある。Depopは10%の手数料(デポップ料金)を差し引くことで収益が形成されているが、2017年から2020 年にかけては毎年70%増の成長を続けていることから、M&A市場での価値も高騰して、2021年7月には Etsyが16億2500万ドル(約2275億円)で買収している。

Depop

古着の中でも、1990年代以前に作られた服にはヴィンテージとしての価値があり、それを専門に探して再商品化することも、サーキュラーエコノミービジネスとして位置づけられている。

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・衣料品を長寿命化させる英国の修理施設
・公的支援によるリペア職人の育成モデル
・オンデマンド靴修理サービスの成長市場
・古着価値を再生するアップサイクル起業
・アップサイクルブランドのビジネスモデル
・アップサイクル生地の卸売ビジネス
・売らずに資源を循環させるサーキュラービジネス

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