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eコマースサイトの成長過程と事業売却の出口戦略

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JNEWS会員配信日 2020/11/23

 いまやネットで大半のものは買えるようになり、経済産業省の調査によると、国内のeコマース流通総額は、2019年には物販系だけで10兆円を超す規模にまで成長している。それでも小売業界のEC化率は6.8%に過ぎないことから、eコマース市場には、まだまだビジネスチャンスが潜んでいる。2020年のコロナ禍では、これまでEC化率が低かった食品や医薬品の分野でも、売上が大きく伸びている。

《国内のBtoC-EC市場規模(物販系)2019年》

日本のECプラットフォームとしては、楽天の流通総額が最も大きく、年間で3.9兆にまで成長している。ただしその中には、物販以外のトラベル、ゴルフ、デリバリーなどのカテゴリーも含まれているため、物販のみではアマゾンの流通総額が楽天を上回るとみられている。

アマゾンの日本事業での売上高は、2019年の時点で160億200万ドル(約1.6兆円)と公表されている。これには、アマゾンが直販する商品の売上高とプレミアム会員の会費、マーケットプレイス出品者(マーチャント)から課金する手数料が含まれているが、出品者の商品売上は別となっている。アマゾンでは、マーケットプレイス経由の売上が全体の58%と開示しているため、全体ではおよそ3兆円の流通総額と推定されている。

《国内ECプラットフォームの物販流通規模》

一方で、eコマース販売者の売上高は、月商100万円→300万円→500万円→1000万 円が目標の成長ステージとなっている。楽天の出店者数は約5万店舗ある中で、 平均月商は400万円台だが、これは一部の成功ショップが売上高を伸ばしている ため、月商300万円未満の割合は全体の8割とみられている。出店費用の固定費 や送料負担なども加えると、ネット販売事業を黒字化させて、さらに利益を伸ば していくには、商品自体の魅力と、販売者の努力が不可欠なビジネスである。

《eコマース出店者の成長過程》

月商100万円まで
ネットで商品が売れることの確認をするステージ。売れ筋商品を持たないショップは月間売上が安定して100万円を超すことが難しく、ネットユーザーから支持される人気商品を最低1つ作ることが第一の課題になる。

月商300万円まで
他店の価格も意識しながら、集客ノウハウを蓄積していくステージ。季節毎に主力商品を変えるなど、複数の売れ筋商品を育てていくことが必要になる。月商300万円を超すと、個人がECショップを専業として生計が立てられる水準になる。

月商500万円まで
広告宣伝や販促キャンペーンなども行いながら、売上を伸ばしていくステージ。注文件数の増加に伴い、品切れを起こさないための仕入れ、在庫管理のノウハウも必要になる。商品出荷を自前で行うショップは、店主だけではオペレーションを回すことが難しくなる。

月商1000万円超
個人事業としては月商1000万円前後が、店主+アルバイト数名によるECサイト運営の限界ラインと言われている。そこから先は、人材と設備に新たな投資をして、EC企業として成長させるステージになる。


ECプラットフォームに出店しているショップの全体数に対して、月商1000万円に到達できるのは1%前後とみられている。その中でも、採算度外視の安売りはせずに、適正な利益を出しているショップとなれば、さらに少数となる。

海外では、こうした月商1000万円(年商で100万ドル規模)のECショップを買収して、さらに価値を高めていくビジネスが登場してきている。個人事業としてEC事業をスタートさせて、月商1000万円にまで成長させた経営者の中では、資金繰りや人材面での悩みを抱えていることが多く、好条件でバイアウトできるのであれば、譲渡しても良いという気持ちがある。一方、投資家の目線では、月商1000万円規模にまで成長したECショップは、経営スタイルを変えることで、更に売上を伸ばしていける可能性が高い。

ただし、月商1000万円を超していれば、すべてのECショップが買収対象となるわけではなく、商品の独自性や利益率が審査されている。その動向からは、これからのeコマース事業がどのように変化していくのかを把握することが可能だ。米国ではアマゾン・マーケットプレイスの出品者(アマゾンセラー)を専門とした買収ビジネスが登場して、投資家からも高く評価されている。

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