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米証券業界を席巻する投資アプリ「ロビンフッド」の影響力

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JNEWS会員配信日 2020/9/19

 賃金の減少や将来への不安を「投資」による収入で賄おうとする人は年々増えている。その中でも、20~30代前半が投資に関心を示して、実際にチャレンジしているのが最近の特徴である。

2018年1月からスタートした「つみたてNISA」は、年間40万円までの投資が非課税枠となり、投資信託などを購入する形で長期投資ができる仕組みとして、国が推奨する制度だが、利用者の73.8%は投資未経験者で、20代~30代の割合も、全体の5割を占めている。

《つみたてNISA口座の年齢別内訳(2020年3月)》

若者を中心とした、新たな投資家層が増えているのは、スマートフォンの影響もあり、1株数百円からの投資ができる「LINE証券」のユーザー調査でも、口座開設者の53%が20~30代、投資未経験者の割合は51%となっている。

少額から投資の知識や手法を学ぶのは良いことだが、その中かから、頻繁な売買取引を繰り返すアクティブ投資家が一定数出てくることは、データからも裏付けられている。

証券業界の統計を分析すると、国内にある証券口座数(約2900万件)の中で、実際に投資資金が入金されている口座は約6割。月間に10回以上の売買をするのがアクティブ投資家の定義だが、その割合は全体の約5%。さらに、100回以上の株式売買をする超アクティブ投資家は、証券口座数全体の0.5~1%に過ぎないが、彼らの株式売買代金が証券会社全体の6割近くを占めている。

《個人投資家の内訳(国内)》

個人投資家は、経験を重ねるほど投資額が増えていく特性があるため、若い投資家を新規で集客、アクティブな投資家に育てていくことは、証券業界が収益性を高めるための課題になっている。その副作用として、ハイリスクな金融商品に足を踏み入れて、大きな損失を出す投資家が増えているのも事実だ。

折しも、2020年は新型コロナの流行により、外出する機会が減ったことから、在宅時間を活用してゲーム感覚で投資を始める若者が世界的に増えており、米国では「Robinhood(ロビンフッド)」のような投資アプリが急成長している。

ロビンフッドは、2013年に米ニューヨークで創業したFintech企業が開発した投資サービスだが、スマートフォンのアプリ上で米国株式やETF(上場型投資信託)などの金融商品を1ドル単位から購入することができる。

アプリは投資の実行や利益を確認する度に、華美な演出がされるようにゲーミフィケーション化されているため、投資初心者の若者から人気に火が付き、2020年の第一四半期は300万人のペースで利用者が増加して、6月時点の口座開設数(ユーザー数)は1300万人を超している。

1300万人というユーザー数は、米国オンライン証券会社の中でも2番手のポジションにまで登り詰めており、預かり資産残高は非公開ながらも、証券業界の新興勢力として強い影響力を持ち始めている。ロビンフッドの特徴は、ユーザーの平均年齢が26歳と若いため、口座の平均残高は1,000~5,000ドル(10~50万円)と少額だが、アプリ内では株を売ったり買ったりする権利のみを購入する「オプション取引」も手軽に行えるため、元手を数倍、数十倍に増やすことを狙うような、ギャンブル性の高い取引にハマっていくユーザーも少なくない。

Robinhood(ロビンフッド)

《米国オンライン証券会社の口座数(2020年)》

従来、オプション取引は、ヘッジファンドなどプロ投資家のみが行ってきた手法で、読みが外れると元手をすべて失ってしまうリスクがある。それを、仕組みも理解できない投資初心者に販売するビジネスに対しては批判の声もあるが、こうした証券業界の新興勢力が、今後の金融市場に影響を与えていくことは間違いないとみられている。

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JNEWS会員レポートの主な項目
・急成長するロビンフッドの顧客開拓方法
・無料株式の提供による紹介報酬プログラム
・ロビンフッド収益構造の解説
・手数料無料化で損をする個人投資家の実態
・株式市場に台頭するホールセラーの役割
・手数料無料化で変化する証券会社の収益構造
・ミレニアル世代の新たな投資ポートフォリオ
・投資物件として考えるマイホームの取得方法
・豊かな人生を過ごすスローマネー投資の考え方
・高速売買が引き起こすコロナショック株価暴落の特性
・5割が損をしている投資信託販売のカラクリ
・金融市場を席巻するアクティブ投資家の実態と成功確率

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