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海洋プラスチック規制で浮上する脱ペットボトル事業

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JNEWS会員配信日 2020/1/25

 コンビニやスーパーで販売される商品パッケージの大半は、プラスチックやビニール、発泡スチロールなどが使い捨てにされている。使用済みの容器や梱包材はプラスチックゴミとして処分されるが、その一部が不当投棄されて、海に流出する「海洋プラスチック」による自然破壊は、世界的な問題として取り上げられるようになっている。

世界全体では、年間に約1200万トンものプラスチックゴミが陸から海に流出しているが、ペットボトル1本を自然界で分解するには450年もの長い年月がかかる。
このままでは、2050年までに海洋プラゴミの総重量が、魚の量を超えるという予測もあり、生態系に与える影響も大きく、やがては人間の食糧不足としても跳ね返ってくることが、各所の海洋研究機関から報告されている。

《海洋ゴミが自然界で分解されるまでの年数》

海洋プラスチック問題については、2015年9月に開催された「国連持続可能な開発サミット」でも取り上げられて、2030年までには海洋汚染の原因となるプラスチック包装や容器の廃棄物を大幅に削減させる目標が、国連加盟国に課せられることとなった。

この問題は、消費者がゴミの分別収集を正しく行ことだけでは解決できない。日本、米国、欧州などで収集された廃プラスチックは、中国や東南アジア諸国に輸出されてリサイクルされるルートになっている。しかし、中国やアジア国内でも経済発展によるゴミの収集量が急増していることから、リサイクルの処理能力を超すようになり、その一部が不当投棄されて海に流出しているのだ。そのため、中国政府は2018年1月から廃プラスチックの輸入を禁止している。

《プラごみの海上流出ルート》

《海上流出するプラごみの発生量》

今後は、中国や東南アジアに処分を任せるのではなく、世界各国が自国内で廃プラスチックを減らしていくことが必要になる。具体的な取り組みとして、フランス政府は、使い捨てプラスチック食器(ボックス容器、コップ、皿、サラダボウル、アイスクリームカップなど)の販売を、2020年から2021年にかけて全面的に禁止する。

また、飲料用のペットボトルについては、廃プラスチック問題の象徴的な商品として扱われ始めており、販売禁止とする場所が世界的に増えている。米サンフランシスコ市では、公立施設内でペットボトル飲料の販売を全面的に禁止している他、2019年月からは、サンフランシスコ国際空港でも、売店や自販機でペットボトル入りの飲料水を販売することが禁止されている。

他の国でも、使い捨てプラスチック製品として、レジ袋、食品容器、ストロー、スプーン、フォーク、ナイフなどの製造・販売・使用を禁止する法制化は、急速に進み始めている。日本も例外ではないが、プラ容器が使えなくなることは、コンビニ、スーパー、ファーストフード店などにとっては大打撃となり、早急に代替策を講じていく必要がある。

一方で、廃プラスチック問題は消費者に対しても、これまで定着していた「使い捨て」の習慣を見直すキッカケとなり、買い物のスタイルに変化が生じていくことも予測されている。このトレンドは、ローカルビジネスを手掛ける小規模事業者にとっては追い風で、環境意識の高い消費者に支持される新サービスを立ち上げるチャンスにもなる。

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・ペットボトル飲料の代替サービス開発
・マイボトルユーザー向け給水ステーション
・プラ容器を使わない英国スーパーマーケット
・八百屋に回帰する食料品量り売りビジネス
・バルクフードショップのビジネスモデル
・消耗品メーカーの脱プラ容器ビジネスモデル
・ファストファッションに問われる廃棄衣類問題
・使い捨て服を見直すスローファッションブランド
・返品商品が清算されるリバースロジスティクス最前線
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