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コロナ危機で生じる食糧問題の特徴と新フードビジネス

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JNEWS会員配信日 2020/4/24

 コロナショック以降、外出を控える生活に一変したことにより、食事の形態も変わってきている。家庭での食事(内食)が増えると、本来は食費を軽減できる効果があるが、いまは緊急事態にあたるため、節約よりも「食材を多めに備蓄しておきたい」という心理が働き、スーパーで買い物をする金額が増える傾向は、データからも裏付けられている。

全国スーパーマーケット協会が、全国各地の加盟スーパー(270社)の売上動向を調査するマンスリーレポートによると、2020年3月の売上実績は前年同月比で8%伸びている。ほとんどの食品カテゴリーで売上が上昇しており、特に、備蓄に適した、米類、パスタ・パスタソース、袋ラーメンの5食パック、カップ麺、シリアル、レトルトカレー、2リットルのペットボトルなどは、売れ行きが非常に好調だ。

生鮮品についても、サラダで使える野菜が人気となっている他、日持ちがするジャガイモ、タマネギ、ニンジン、ピーマン、ビタミンの補給ができる果物類の販売量も増加している。さらに、在宅勤務後の家飲み、仲間と遠隔で飲み会をする「オンライン飲み会」なども流行ったとで、酒類の売上も伸びている。こうした傾向は、コロナの感染拡大が深刻な関東地方だけでなく、全国的にみられる特徴だ。

《2020年3月のスーパー売上高(前年同月比)》

《コロナ以降の売上が伸びている家庭食品》
○ サラダ関連野菜、ジャガイモ、ニンジン、ピーマン、長芋
○ バナナ、オレンジ、イチゴ、リンゴなどの果物類
○ 冷凍魚、水産物の加工品、春商材の海藻類やアサリ
○ 家庭用の手巻き寿司、ちらし寿司で使われる具材
○ 牛肉、豚肉、鶏肉などの大容量冷凍パック
○ ハム、ソーセージ類
○ 袋ラーメン5食パック、カップ麺、レトルトカレー
○ 米類、パスタ、パスタソース、ホットケーキミックス
× 行楽、外出の自粛により、弁当類の需要は激減
× 在宅勤務の増加により、仕事帰りの惣菜購入ニーズも減少

※出所:スーパーマーケット販売統計(2020年3月)

時系列でみたスーパーマーケットの景気は、サラリーマンの平均年収が下がり続けていることや、消費税率の引き上げにより厳しい状況にあったが、新型コロナの流行以降は、消費者の購買行動が変化したことにより、プラスの効果に転じている。一般世帯にとって家計の負担が重くなるのは厳しいが、自宅に籠もる生活が続いても不自由しない食糧の確保は最優先の項目になっており、食料品の需給は、当面ひっ迫していくことになるだろう。

その背景としても取り沙汰されているのが、コロナの影響により、世界的な食糧危機が起こるのでは、という懸念である。WHOの見解でも、国境の閉鎖や検疫により、国際的な食品サプライチェーンは混乱しており、食品の輸出制限をかける国が増えると、食品価格の高騰を招く恐れがあることを指摘している。

現代では、多種類の食材が生産されているため、先進国では飢餓が起きる心配は無いが、これまでは普通に買えていた一部の食材が、2倍、3倍に高騰することは考えられる。その一方で、外食産業の食材需要は激減しているため、レストランやホテルを主な出荷先としていた農業生産者の中では、せっかく収穫できた作物を廃棄しなくていけないというフードロス問題も起き始めている。

このように、新型コロナウイルスは、世界の食品流通に大きな影響を与えることは間違いなく、「不足する食材」と「余剰食材」の両方が生じるという、アンバランスな状態を作り出している。これを解決することが、アフターコロナの時代に向けた食品流通の枠組みを再構築することになり、フードビジネス起業家にとっては、ビジネスチャンスとして捉えられている。今回のレポートでは、その着眼テーマについて詳しく解説していきたい。

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JNEWS会員レポートの主な項目
・コロナ禍で開発される生活必需品の宅配ボックス
・パンデミックで起きる生鮮品流通のミスマッチ
・コロナで暴落する高級食材の取引相場
・農業生産者と消費者の直接取引モデル
・パンデミックで見直されるミールキット市場
・日本と米国で異なるミールキットサービス動向
・感染対策として開発される非接触型サービスへの業態転換
・飲食業のビジネスモデル転換を促す、未来の食事スタイル
・廃棄食品の仲介をするフードバンク事業のビジネスモデル

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