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ライフイベント別ストレス強度とメンタルヘルス対策市場

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JNEWS会員配信日 2014/5/30

 世の中がどんなに便利になったとしても、人間が抱えるストレスが軽減されているわけではない。むしろ、昔よりもストレスは高くなっているが、それはどんな特性によるものなのだろうか。

ストレスに関する研究は、1967年に、社会学者のトーマス・ホームズと内科医のリチャード・レイが、5千人の精神的に不調な患者を対象に、その原因となったストレス項目を調べて点数化した「社会的再適応評価尺度」というものが、現代のメンタルヘルスにおいても指針となっている。

人間は本来、“生活上の変化”に対してストレスを感じる習性があり、その変化が大きくなると、うつ病などの発症確率が高くなる。そこで、日常の生活で起こる様々な変化を「ライフイベント」として、各イベントがどれだけ重いストレスなのかを点数化したものが、以下の表である。

ストレスは、生活上の「悪い出来事」だけではなくて、「良い出来事」に対しても感じるのが特徴で、「結婚」という人生のイベントを基準値(50点)として、ストレスの強度が比較されている。

過去1年の生活で、これらのストレス合計値が 300点を超している人の80%が、翌年以降に健康を崩し、200~300点のストレス負荷でも、5割の人が健康に何らかの問題が生じると報告されている。

《主なライフイベントのストレス強度》

上記の項目をみると、強度が高いストレスは、プライベートな問題が大半を占めている。配偶者の死、離婚などの不幸には最も重いストレスがかかるが、結婚や妊娠、新しい家族が増えることなど、幸せな出来事に対しても、新たなプレッシャーとしてストレスを感じている。

また、「長期休暇」や「クリスマス」は、楽しいイベントと捉える人が多い一方で、「休日を一緒に過ごす人がいない」という孤独感や、「経済的に休日を楽しむ余裕が無い」という貧困から、ストレスを感じている人もいる。これらのストレス特性は、1960年代に調査されたものだが、現代の生活にも当てはまっている。

【仕事で生じるストレスの多様化と許容量】

さらに、現代人がストレスを感じるライフイベントは、時代の変化と共に増えているが、その中では「仕事」に関する項目が多い。私生活でストレス強度が高い出来事(配偶者との死別や離婚など)は、人生の中で数回しか起きないのに対して、仕事上のストレスは毎日継続するため、それが蓄積されていけば、体調を壊すことも必然といえるのだ。

《ビジネスパーソンが抱えるストレス項目例》

・売上ノルマが達成できない
・クライアント、顧客とのトラブル
・リストラへの不安
・収入の減少
・会社の吸収合併
・職場の人間関係、いじめ問題
・コンプライアンス違反
・所属部署の統廃合
・降格人事、遠方への左遷
・新規事業の立ち上げ
・労働時間が長い、サービス残業
・長距離の通勤
・企業業績の悪化または急成長
・事業予算の削減、コストカット
・新たな技能やスキル、資格の習得
・飲み会、社内行事への参加

経営者や人事担当者にとっては、各社員のストレス蓄積量をできるだけ把握するようにして、過度のストレスを溜め込まないようにする配慮が必要。そのためには、仕事だけではなく、私生活でどんなストレスを抱えているのかも把握しておかなくては、片落ちの対策になってしまう。

たとえば、夫婦関係のトラブルを抱えていたり、家族が病気という状況の中では、仕事で最高の成果を上げることは難しく、そのまま営業ノルマ等のストレスを与え続ければ、やがて有能な人材も潰してしまうことになるだろう。

しかし、多くの日本企業は「個人の事情よりも業務を優先する」というスタンスを貫いており、それが高ストレス状態の職場に陥る要因の一つになっている。

人間が耐えられるストレスの許容量は、プライベートと仕事の両方で抱えるストレスの合計値で決まるため、社内でも、家族の問題や個人的な悩み事を話しやすい環境や雰囲気を作ることが、メンタルヘルス対策になる。

《人間のストレス許容量》

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