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  小中高校生向けにプログラミング教育を必修化させる動きが、官民両方の立場から推し進められており、子ども向けのプログラミングスクールや、ITサマーキャンプなどの教育サービスが成長してきている。
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必修化が求められるプログラミング教育に向けた
スクール事業
JNEWS会員配信日 2013/5/6


 日本で義務教育がスタートしたのは、明治時代(1870年代)のこと。国内初の教育法令である「学制」が公布されて、尋常小学校の下等(6〜10歳)と上等(10〜14歳)の8年間が定められることとなった。第二次世界大戦後には、現在の学校制度へと変更されて、小・中・高・大学までを通して学ぶことが普通になった。

こうした国の教育制度が、日本の経済成長を支えてきたことは間違いないが、いまの教育内容が、時代に適応しているのかといえば、疑問符が付く。最も指摘されているのが「英語力が弱い」ということだが、もう一つ、これからの教育科目として必要なものに「プログラミング」のスキルがある。

誤解の無いように言えば、日本のIT教育も2000年頃から急速に進んでおり、小中学校からパソコンを取り入れた授業は行われているし、高校では「情報」の科目が必修化している。しかし、その内容はビジネスの現場が求めるレベルとは異なるものだ。

社会人の中でも、ワードやエクセルを使える人は多いが、それだけでは就職の強みとすることは難しい。企業側が求めている「ITのスキル」とは、簡単なソフトのアイデアなら、自分でプログラムを試作できるレベルのことで、それを“たたき台”にして、本格的なシステム開発の管理ができる人材だ。しかも、こうしたスキルは、IT専門の企業に就職する人達だけでなく、金融や流通業など、いわゆる“文系”のビジネスマンにとっても、重要になってきている。

日本よりもIT人材が豊富な米国でさえも、プログラミング教育の環境は整備されていない状況で、「Code.org」の統計によると、理数系の大学生の中でも、プログラミングができるのは、僅か2%に過ぎず、2020年にはコンピューター関連の人材が 140万人求められるのに対して、コンピューター科学を専攻した人材は40万人しか育たないことが予測されている。

《米国プログラミング教育の現状(Code.org)》

●2020年には、コンピューター関連の専門人材が140万人は必要。
●しかし、大学のコンピューター科学を専攻した人材は40万人の見込み。
●理数系大学生の中で、コンピューター科学の専攻者は2%に過ぎない。
●9割の高校では、プログラミングの授業が行われていない。

コンピューター・サイエンスは、大学の中でも非常に人気が高い学部だが、難関で学費も高いことから、1校あたり毎年 400人程度しか入学することができない狭き門だ。しかし、それでは将来の雇用需要を満たせないことから、大学とは別に、プログラミング教育を目的としたITスクールを運営しようとする動きがみられる。(関連記事

2013年1月からスタートした「Code.org」は、マイクロソフト創業者のビルゲイツ氏、フェイスブック創業者のマーク・ザッカーバーグ氏の他、錚々(そうそう)たるIT起業家を後援者として、無料でプログラミングのオンライン・カリキュラムを提供している。さらに、全米でプログラミングが学べるスクールの普及と、そのデータベース化を進めようとしている。



この動きに対して、オバマ大統領もプログラミング教育の重要性を支持して、高校でプログラミングの授業を必修化する姿勢を見せている。つまり、プログラミングができるレベルの人材を、学位の有無に関係なく、高卒の一般労働者の層にまで引き下げることを、米国は狙っている。

《米国IT人材の雇用動向(2020年の予測値)》

 

IT人材の需要は、増えることが確実視されているにも関わらず、意外にも、該当する人材の育成カリキュラムは未整備であることから、そのミスマッチを埋める教育事業は、今後の有望分野といえる。しかし、そこでビジネスを成り立たせるには、幾つかのポイントがある。
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この記事の核となる項目
 ●エリート大学で開催する有料ITキャンプのビジネスモデル
 ●人気が殺到する非営利ITキャンプの仕掛け人
 ●有力企業が開催するITキャンプの狙いとは
 ●非営利が有利なプログラミング教室の運営モデル
 ●社会人に向けたプログラミング教育市場の特徴
 ●オープン化するオンライン・プログラム教育
 ●コーディング・テストによる人材採用の方法
 ●グローバル化・多様化するIT人材の価値
 ●スモールビジネスを支援するアプリ開発とヘルスアプリの将来像
 ●インターンシップを起点とした優良企業のエリート人材採用
 ●勉強好きの子どもをロックスターにする科学コンテスト市場


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