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  米国では海外へ仕事を発注することから回帰して、自国の地方都市(田舎)に住む人達に業務を外注する動きが出始めている。それができるようになったのは、田舎にもWi-fiなどの無線通信によるブロードバンド環境が整ってきためで、ルーラルソーシングという新市場として注目されている。
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オフショアマネーが自国へ環流する
ルーラルソーシング市場
written in 2011/3/2

 日本のビジネスは大半が東京を中心として展開されている。全国で約4千社ある上場企業の所在地をみても、その半数は東京に本社を置く企業であり、求職者が好条件の仕事を探すにしても、都会と地方との格差は歴然としている。都道府県別でサラリーマンの平均年収を比較すると、全国で最も高い東京と、最も低い沖縄では、およそ2倍の格差がある。さらに、求人件数(有効求人倍率)でも、沖縄、九州、北海道、東北地方などでは、東京の半分程度しか仕事を見つけられないのが実情だ。

《都道府県別の平均年収》

  

しかし、東京で働いているから安泰というわけでは無く、全国の平均からすると東京の給与水準は高値の状態にあるため、いまの年収に値崩れが起きても不思議ではない。もちろん、東京の物価は、地方よりも高いため、多少は給料が良くても“生活が楽”ということではないが、経営者の立場では、優秀かつ安価な人材が使える方法を常に模索しており、クラウドの時代には、必ずしも東京の人材だけに拘ることもない。

《東京サラリーマン(社員)の年収推移》

  

これが英語圏の話なら、インドやフィリピンの人材に対して仕事を発注する「オフショアリング(offshoring)」という方法があるが、日本では言語の問題があるため、安価な海外の人材を活用することは難しい。そこで浮上してきたのが、同じ国内で、地方(田舎)に住んでいる優秀な人材に対して仕事を発注する「オンショアリング(onshoring)」という考え方である。

米国でも、他国に仕事をアウトソーシングすることによるノウハウの流失や、仕事の品質に対する問題から、国内の田舎に住む人達の労働力を活用することが見直されて、それが「ルーラル・ソーシング」と呼ばれている。ITが使える仕事であれば、地理的な格差が生じないというのは、オフショアやクラウドによるアウトソーシングでも言われてきた利点だが、もっと身近にいるルーラル(田舎)な人材に対しては、意外にもこれまでノーマークであった。

仕事のアウトソーシングに限らず、ローカル商圏にフォーカスしたビジネスには、未開拓な部分が多く残されている。しかし、都市と地方をオンラインで結べば、人件費や物価の格差は実質的に解消することができるため、田舎にある豊富な資源を、都市部の企業や消費者が活用することは、十分可能になるはずだ。そこで今回は、米国で起こっているルーラルビジネスの動向と、なぜ「田舎」が見直されているのかに迫ってみたい。

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この記事の核となる項目
 ●田舎人材に着目したルーラル・ソーシングとは
 ●ルーラル・デベロップセンターによる受託開発の仕組み
 ●海外から国内の田舎人材へ回帰している理由
 ●IT時代に広がる新たな兼業農家のスタイル
 ●ルーラル・ブロードバンドと新ワークスタイル
 ●米国ブロードバンド回線の普及動向からみた日本との違い
 ●農村からの情報発信とハイパーローカル市場
 ●ハイパーローカル市場の消費者行動
 ●漁師が収穫した魚を会員でシェアする新漁業モデル
 ●遠隔医療で解消される地域間の健康格差
 ●経済連携による国境消滅で起こる介護人材の国際調達ビジネス
 ●バーチャル農園で本物の野菜を栽培する農業の新スタイル
 ●国境を消滅させるサービス貿易とオフショア人材ビジネス
 ●江戸時代の石高制度に学ぶ、市民農園を収益化する発想


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