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マイホーム資産を守れ!
目減りする“我が家”の担保価値
written in 2009/4/23

『人生はラットレースのようなもの、働いても働いても資産は増えていかない』として、不動産投資を勧めた米国在住の著者が書いた本が数年前にベストセラーになったが、サブプライムローン問題以降、不動産市場は大混乱に陥っているのは周知の通りである。そのため、米国で不動産投資をしていた人達は顔面蒼白で自己破産寸前かと思いきや、意外とそうでもないようだ。

それは米国の住宅ローンがノンリコース(non recourse)型と言われるもので、融資対象となっている住宅価値がローン残高より下がった場合には、その物件を差し出すことで、それ以上の負債を抱える必要がないためだ。その分の損失は融資元の銀行やローン会社が背負うことになっている。これは質屋の取引と同じことで、ブランドバッグを質草にして10万円のお金を借りた人が、後にそのバッグが不人気になって8万円の価値しかないことがわかれば、質屋にお金を返さずにバッグを質流れにしてしまえばよい。住宅ローンにもこの仕組みが当てはまるというわけだ。

それだけに米国では「住宅の資産価値」に対して非常にシビアで、たとえすぐに売るつもりがなくても、今ならいくらの買値が付くのかを意識している。「住宅価値<ローン残高」の状態にある物件はネガティブ・エクイティと呼ばれて、ローンを払い続けるよりも、手放す検討をしたほうが賢いという発想になる。

《ノンリコース型住宅ローンの仕組み》
    ノンリコース型住宅ローンの仕組み

一方、日本では購入した住宅の資産価値には関係なく、家主はローンを完済させる義務があるため、住宅の価値に対しては無関心、いやむしろ「そんなことは考えたくない」という人が多い。家主にしてみれば人生の一大決心をして30年以上のローンを組むため、その完済が終わるまでは「マイホームの時価」が毎年目減りしていることは意識したくないのだろう。木造住宅であれば、築25年で住宅の査定額はゼロになるのが普通だ。

日本では、住宅が新築されてから取り壊されるまでの平均築年数(住宅の平均寿命)が約30年で、これは米国の住宅が約55年、英国が75年であることと比べるとかなり短い。それではいけないということで、国土交通省では住宅寿命を欧米並みに伸ばすプロジェクトを推進している。技術的な面でいえば、家の構造や耐震性を強化すれば住宅寿命を延ばすことは十分に可能で、近頃では「100年住宅」を提唱する住宅メーカーも増えてきている。100年は大袈裟にしても、鉄骨造や RC造の家であれば、50年近くは住むことができる。

ただしそれを実現するには、家主が高い建設単価を投じることと、定期的なメンテナンス(修繕)を欠かさないことが条件だ。同じ面積の家でも「坪単価が45万円で30年しかもたない家」を建てるのか、「坪単価が70万円で50年もつ家」を建てるのかは、家族の状況によっても異なるが、マイホームを“資産”としてみた場合の投資効果によっても判断が変わってくる。

日本の一般家庭にとって、マイホームは最も高い買い物であることは間違いないが、現状ではそれを資産として活かす道が存在していない。万が一、自分が病気や失業をして生活に困った時には、マイホームを賃貸に回して家賃収入で生活をするとか、担保にして生活資金を借りられるのであれば、「家を所有すること」のメリットは大きくなる。

さらに、自分がいま住んでいる家とは別に、遺産相続をして親の家(実家)を引き継ぐようなケースは、これからたくさん出てくるが、その家を何らかの形で収益化できるのか、それとも廃墟にしてしまうのかの違いは大きい。日本では意外にも、マイホームを資産として有効活用できるサービスの事業化が遅れているため、その開拓には商機が見込める。これには「不動産投資で儲けたい」という人ばかりでなく、そのまま野放しにしておけば価値がゼロになってしまうマイホーム資産を守らなくてはいけない、という生活防衛手段としての需要も見込める。
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この記事の核となる項目
 ●日本の中古住宅はなぜ不人気なのか?
 ●中古住宅の実売価格と担保価値の乖離について
 ●住宅の価値を高めるための努力と住宅履歴の管理ビジネス
 ●資産価値の下落が止まらない日本の住宅市場
 ●家の資産価値を高められる新たな付加価値サービス
 ●中古住宅の価値を証明する住宅履歴書の作成ビジネス
 ●英国にある住宅履歴管理会社の仕組み
 ●不動産業者が不要になる住宅売買の新市場とオーナー組合
 ●不動産業者は住宅オーナーにとって最良のパートナーか?
 ●戸別ではなく地域で考える資産価値の維持と向上策
 ●地域住民で住宅価値を守る欧米ホームオーナーズ組合の動向
 ●シングル女性が購入するマイホームの採算と新たな家族関係


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JNEWS LETTER 2009.4.23
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