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エコ社会で見直される自転車通勤のトレンドと
自転車業界
written in 2008/9/19

 日本人が毎日の通勤や通学にかかる時間は片道の平均で約30分。さらに東京の会社へ勤務している人が多い神奈川や千葉からは50分以上をかけて通勤しているのが実態で、通勤時刻は朝の8時半頃に集中していている。東京都内ではこの時間帯に9百万人以上が移動をしているため、通勤時のストレスは相当なものだ。一方、地方都市ではマイカーによる通勤が多いが、やはり交通渋滞に悩まされている。

日本に限らず、世界の都市では通勤による混雑や渋滞が深刻な社会問題になっていて、それが環境汚染の一因であることが指摘されている。そのため通勤事情を改善させることがエコビジネスとしても重要なキーワードであり、先の洞爺湖サミットでも各国における通勤問題がテーマとして話し合われた。日本国内だけでも約6千万人の通勤者がいることから、その効果的な改善方法を考えることには大きな商機が見込める。

そんな背景の中、見直されている交通手段の一つが「自転車」である。自転車はCO2を排出することがないし、道路や駐車スペースを広く占有することもないため環境に優しい乗り物として、欧米では自転車通勤をする人が急増して、新たな“自転車ブーム”が巻き起こっている。自転車の人気に火が付き始めているのは、環境への配慮ということの他に、マイカー(自動車)と比較した移動コストの問題、それに自転車を愛用するライフスタイルが新しくてファッショナブルといった好イメージが広がっているためだ。



一方、日本では欧米ほどの自転車ブームは訪れていないようにみえるが、全国の保有台数でみると約7千万台で、昭和の頃(約5千万台)よりも明らかに増えている。これは各世帯に1台以上の自転車があることを意味していて、誰もがちょっとした買い物などには使っているはずだが、中高生でもない大人が“会社まで自転車通勤”というのは少し恥ずかしい気持がないだろうか。自宅から最寄りの駅までママチャリを使っている人は、そのことを会社の同僚に隠しているかもしれない。

じつはこのような心理が、通勤方法の改善や環境ビジネスの普及と大きく関係している。スーパーでの買い物にマイバック(エコバック)を使うという行動にしても、他に同じことをする人がいない段階では「恥ずかしい」「格好悪い」という気持ちが先に出てしまい、なかなか実行することができない。しかしエコバックが先進的な人達の中で流行しはじめた“ある段階”を越えると、そのスタイルをお洒落に感じるようになって真似しようとする人達が爆発的に増えていく。このような社会現象のことは「クリティカルマス(Critical Mass)」と呼ばれていて、今後の環境マーケティングでは重要な法則として捉えておく必要がある。

「通勤にマイカーを使うのは止めましょう」と行政が訴えたところで、それで通勤者が不便になるだけでは効果が薄いが、「自転車通勤のほうがカッコィイ」という風潮を意図的に作ることにより、あるクリティカルポイント(臨界点)を越えた時点から、勝手に同じ行動を真似する人達が爆発的に増えてくる。今回はその社会現象を踏まえながら、自転車を活用した環境ビジネスの可能性について考えてみよう。
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この記事の核となる項目
 ●商品でなく技術を売る自転車屋の採算
 ●通勤サイクリストが急増するクリティカルマスの社会現象
 ●自転車の価値を高める仕掛け人の取り組みと活動
 ●クリティカルマスによるサイクリストの増加傾向
 ●サイクリストが生み出す新たなライフスタイル
 ●町内会からサイクルコミュニティへ変わる新たな人間関係
 ●モータリゼーションの時代に学ぶサイクリスト団体の経営
 ●JAFから学ぶサイクリスト団体の経営
 ●通勤サイクリストに向けた有望サービスの方向性
 ●環境プレミアムを追い風に見直される新時代の貸し自転車事業
 ●団塊オヤジはなぜハーレーダビッドソンに夢中になるのか?
 ●マンション市場から参入するカーシェアリング事業の採算性


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 ●自転車が安くなった理由と工場を持たないメーカーの起業
 ●環境ビジネスを収益化する基本モデル、エコトレードの仕組み
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 ●脱マイカー社会で変わる消費者の購買行動と商圏法則
 ●環境問題が後押しする「あいのり」通勤ビジネスへの商機