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亡くなった後の遺志を残す
オンライン遺言サービスの可能性
written in 2005/8/23

 自分が亡くなった後のことまで用意周到に考えている人は少ないが、残された身内や家族にとって故人の遺産をどう分配するのかは難しい問題である。現代では人間関係や法的な権利が昔よりも複雑に入り組んでいるため、自分が富豪でないとしても、遺産の相続に関する意思表示を生前に残しておくことが必要になってきている。

日本では、これまでの遺産相続は意外とアバウトに行われてきた経緯がある。相続税の申告が正式に行われる件数は年間で約5万件。これは年間の死亡者数(約100万人)に対して5%の水準とかなり低い。相続税の申告は死亡者の家族が必ず行わなくてはいけないというものではなく、遺産額が基礎控除以下であれば申告しなくても良いルールになっている。そのため、相続税の申告をしない家庭では、簡単な話し合いのみで遺産の分配をしているケースが大半を占めているのだ。

遺産の基礎控除額は、「5000万円+(相続人×1000万)」という算式になっているため、例えば“相続人”が妻と子供二人の計3名である場合には、故人が所有していた不動産の評価額と預貯金などを含めた遺産総額が8千万円までならば相続税の申告をする必要はない。日本では95%がこの層に該当する世帯だ。

その一方で、残り5%に該当する、相続税の申告をする必要のある故人一人あたりの遺産(相続税の課税額)は平均で2億6千万円という水準。富裕層に該当するこれらの人達は、自分が健康な時期から正式な遺言書を作成して遺産相続のトラブルに備えてきた。遺言書の作成〜管理、執行にかけての業務は、これまで信託銀行や弁護士などが扱ってきた市場である。遺言執行の手数料は遺産額に応じた比例報酬が設定できるために“相続は旨味のある仕事”という業界関係者は多い。

《富裕層向け遺産信託手数料の例》

 ●遺言書作成のサポート………………………5〜10万円
 ●遺言書の保管…………………………………年間5千円〜1万円
 ●遺言の執行
  ○基本報酬……………………………………30万円
  ○財産比例報酬
   ・財産1億円以下の部分…………………1.5%
   ・財産1億円超5億円以下の部分………1.0%
   ・財産5億円超10億円以下の部分………0.5%
   ・財産10億円超の部分……………………0.3%

しかし近頃では、富裕層以外でも「遺言書を作成しておきたい」というニーズが高まっている。遺産の額は大きくないにしても、身内のトラブルを未然に防ぐためにも、しっかりと遺産分配の意思表示を生前に残しておきたいという希望だ。ところが現在の遺言サービスは、相続税の申告をする必要のある富裕層を対象にしたものが主流で、それ未満の一般大衆層が利用しやすいサービスがあまり見あたらない。欧米では電子的に遺言を預かる安価なサービスも登場しはじめていることから、遺言をテーマとした新たなビジネスの可能性について考えてみたい。
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この記事の核となる項目
 ●簡易遺言サービスの仕組みと可能性
 ●法的に効力を持つオンライン遺言書作成サービス
 ●日本国内における遺言ビジネスの可能性
 ●5%の富裕層と95%の一般層に向けた遺言サービスの違い
 ●財産比例報酬型で稼ぐ遺言・遺産管理サービスの収益構造
 ●病院と癒着する業界体質を切り崩す新しい葬儀ビジネスの視点
 ●複雑な人間関係によって見直される家系図と新たな人脈ビジネス
 ●ホームページを集客の要とする葬儀業者の工夫とオンライン戦略


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JNEWS LETTER 2005.8.23
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