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Z世代顧客に向けたロレックスのビジネスモデル転換

JNEWS会員配信日 2023/10/23

　高級品の中でも再販によって現金化できる価値がどれだけ高いかは、富裕層にとってもブランドを選定する重要な項目になっている。その点では高級品の中古市場は、これから最も成長が見込める分野であり、ブランドメーカーも「自社製品の再販価値を高めること」に注力しはじめている。

ロレックスが2022年末から立ち上げた「ロレックス認定中古プログラム（CPO）」は、ロレックス本社がメンテナンスと品質検査を行った中古品を認定中古として、2年間の国際保証書と認定シールを付けた上で正規販売店ルートで販売するものだ。

これまでのロレックスは、中古品の再販に直接関与してこなかったが、認定中古プログラムの導入によって、サードパーティの中古業者と同じ市場に参入することになる。

■ロレックス認定中古プログラム

ただし、CPOロレックスは、サードパーティ業者が販売する非認定の中古品よりも平均で15～25％高く販売されているため、コレクターの中では「CPO認定シールには幾らの価値があるのか？」という論争が起きている。以前から、中古ロレックスは新品よりも高いプレミア価格で取引されているが、CPOは更に高い販売価格が提示される。

これは、正規ルートで鑑定や整備を行えば割高なコストがかかるため仕方のないことで、ロレックスCPO事業の利益率はそれ程高くないという分析がされている。
もともと、ロレックスは外部で購入した中古品でも、公式サービスセンターに持ち込めば、鑑定と修理を有償で行うサポート体制を世界各国に設けていることから、他の高級時計ブランドよりも高い資産価値があると評価されていた。

そこから更に、ロレックス本体がCPO事業に取り組むのは、持続可能性を重視するブランドとしての姿勢を示す目的があると言われている。他の高級時計メーカーでも、新品保証を2年から5年に延長することや、時計が譲渡、転売されても保証は継続される条件緩和の動きが加速している。こうした保証制度の変革により、中古市場での資産価値を上昇させる効果が出ている。

　高級品の販路が実店舗からネットへと移行する中で、ブランド中古品の認定制度は「本物」としての資産価値を保証する役割として重要になっている。これらの認定制度はメーカーだけでなく、信用力の高い販売店が独自の制度として作ることもできる。

1988年の創業で、スイスを本拠地とした時計と宝飾品の販売店として世界で100店舗以上を展開する「Bucherer（ブヘラ）」は、ロレックス、オメガ、オーデマピゲ、IWC、ブライトリングなど高級時計の中古品に対して、専属の時計職人が鑑定と整備を行い、2年間の保証を付けた「Bucherer Certified Pre-Owned（ブヘラ認定中古）」のプログラムを2019年から開始している。ブヘラが認定した中古時計は、老舗オークションハウスのサザビーズが運営する「プレミア・オンラインマーケットプレイス」との独占提携によりオンライン販売されている。

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■JNEWS会員レポートの主な項目
・Z世代が好むニューラグジーの方向性
・高級品コネクテッド・コレクションの仕組み
・デジタル資産における実物保管業者の役割
・ロレックスが手掛ける公式再販ビジネス
・高級時計認定中古品とECビジネスの相性
・40歳未満で形成される中古高級市場の動向
・富裕層に広がる静かな贅沢トレンドとは
・オールドマネーとステルス富裕層の実像
・再販価値を高めるヴィンテージ再生製品の作り方
・高級品販路として見直される百貨店の外商ネットワーク
・デジタル資産で富を築く知財ビジネスの方向性

■この記事の完全レポート
・JNEWS LETTER 2023.10.23
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